小学生の頃、理科(生物)の授業で 『ニホンオオカミ』は日本の固有種だ、と習った覚えがあります。
それは間違いだったのでしょうか? そんなのどうでもいい、という声も聞こえてきますが、このことを一大事と考えている人たちもいるんです!!
絶滅した『ニホンオオカミ』は日本の固有種ではなく、『ハイイロオオカミ(タイリクオオカミ)』の亜種であるとする遺伝子解析結果を、岐阜大学の石黒直隆教授と松村秀一教授らの研究チームがまとめ、この説を9月9日の日本獣医学会で発表するそうです。
従来より、骨の形の特徴や頭骨等の相違点から、他のオオカミとは別種とする説がありましたが、この様な別種説は否定されたことになります。
岐阜大学の研究チームは、本州や九州、四国に生息していた『ニホンオオカミ』6頭の骨から、細胞に含まれるミトコンドリアのDNAを採取して、北米や欧州にいる57頭の『ハイイロオオカミ』のDNAなどと比較しました。
解析の結果、『ニホンオオカミ』は『ハイイロオオカミ』から、約12万~13万年前に枝分かれした亜種とみられるそうです。日本列島が朝鮮半島と地続きだった年代に移り住んだと考えられるとしています。
石黒教授らは、これまでにもミトコンドリアのDNAの一部の解析によって『ニホンオオカミ』が固有種ではないとする説を発表していましたが、今回、DNAの一部ではなく全てを解析したことで、より確実な結果が出たと説明しています。
『ニホンオオカミ』(Japanese Wolf)は、体長1メートル前後で体重は推定15kgくらい、尾長は30~40センチで、アジア大陸などに生息している『ハイイロオオカミ』と比べて小型でした。オオカミの本能から群れをつくり活動し、本州・四国などに生息していましたが明治時代には絶滅したと考えられています。
尚、1905年(明治38年)に奈良県の東吉野村で捕らえられた若い雄(後に標本となり現存する)が確実な最後の生体捕獲の記録となっています。
また『ニホンオオカミ』は、同じく絶滅種で北海道に生息していた『エゾオオカミ』とは、別の亜種として区別されています。
環境省のレッドリストでは、「過去50年間生存の確認がなされない場合、その種は絶滅した」とされるため、現在『ニホンオオカミ』は絶滅種となっています。
これでほぼ、別種か亜種かの論争もひと段落となることでしょう。個人的には固有種だった方がなんとなくロマンがあったのですが・・・。
-終-
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