9月7日にAFPが伝えたところによると、英国からの分離独立についての住民投票を、11日後の9月18日に実施するスコットランドでの世論調査の結果、独立を支持する票が初めて反対票を上回ったそうです。
さて18日に実施される、世紀の独立住民投票の結果は如何相成りますでしょうか?
この世論調査は、イギリスの民間調査会社YouGovと新聞サンデー・タイムズ(Sunday Times)紙が実施したものです。結果は、独立を支持する票が51%に対し、反対票は49%でした。調査では回を追う毎に賛成派が票を伸ばしており、遂に今回の調査結果で優位に立ちました。
極めて僅差のリードとはいえ、この結果は今月(9月)の18日に実施される本番の住民投票を前にして、独立を目指すスコットランド民族党(Scottish National Party、SNP)にとっては大変価値あるものとなりました。この賛成派の勢いを見た浮動票の動向が気になるところです。そして投票実施までの残りの11日間、両派の戦いは更に熾烈を極めるものとなるでしょう。
尚、スコットランドの独立運動の詳細に関しては、8月9日の拙稿『【OIC-1】 スコットランドの独立住民投票迫る!!』でご確認頂くとして、やはり現実に分離独立が果たされると、政治(内政・外交・安全保障etc.)・経済から文化面まで、とてつもなく大きな影響がイギリスだけでなく、欧州連合(EU)や世界中に及ぶものと考えられます。
さて、この調査結果と賛成派の拡大にはデービッド・キャメロン(David Cameron)首相率いるイギリス政府をはじめ、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)も「大きな不安」を感じており、最新情報を毎日報告するように支持を出した、と伝えられています。(サンデー・タイムズによる)
仮にスコットランド独立が決定すれば、イギリスの国際間における影響力・勢力の削減のみならず、特にEUの求心力(一つにまとまろうとする力)が急速に反対方向、つまり遠心力(弱国の切り捨て)の発揮に向かい、また世界中の各国で分離や独立の運動が盛んになるのは間違いありません。
世界が固唾を飲んで見守る、18日の投票結果が待たれます!!
-終-
【関連】独自の言語圏を持つスペイン北東部のカタルーニャ自治州では、同州政府が本年11月9日に独立に関する住民投票を実施すると公言しています。スペイン第2の都市バルセロナを州都とし、その経済規模はスペイン全体の約20%を占めるカタルーニャ自治州。州政府の調査によると、独立支持は45%に上り、反対は28%。スコットランドの独立住民投票の結果次第では、カタルーニャ独立運動が更に高まる可能性もでてきました。
北部のオランダ語圏と南部のフランス語圏の分離が叫ばれているのがベルギーです。この5月の総選挙で、北部の分離独立を目指す「新フランドル同盟」(N-VA)が躍進しました。ここでもスコットランドの結果を注目して待ちわびている様です。
【続報】英国のオズボーン財務相は7日、英BBCテレビに出演して社会福祉の充実や所得税の徴税権などについて、スコットランドに対し更なる自治権の付与を検討し、近々、英国政府が発表すると述べました。また独立した場合は、英国通貨のポンドは使用できなくなると警告しました。英国政府は独立派の躍進に、必死の引き留め工作を展開しているようです。
欧州委員会は8日、スコットランドが英国から独立した場合、欧州連合(EU)からも自動的に脱退となり、加盟国となるには再度申請する必要があると表明しました。
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