3Dプリンターは期待のニューテクノロジーだと思う。この機器を活用して新しい産業が立ち上がる可能性があるからだ。
今までは、新興のベンチャー企業が中心となって3Dプリンターの開発・製造・販売に携わってきたが、いよいよ大手の精密機器・プリンターのメーカーが本格的に参入を開始する!!
これからが本番、真の競争が始まりビジネスの急速な拡大が見込まれよう・・・。
日本経済新聞などによると、満を持して国内の精密機器製造大手のリコーやキヤノン、そしてセイコーエプソンなどが、設計データから直接、立体物を造形することが出来る3D(3次元)プリンター事業に参入するようだ。
各社ともに既存のプリンター事業で培った技術を活用して、試作品レベルにとどまらず、量産部品の製作が可能な3Dプリンターを開発するという。
実際の製品に組み込める量産部品が製作できるようになれば、製造工程の簡略化やコスト低減などで、モノ作りの世界に大きな革命をもたらすことになる。
3Dプリンターとは、コンピュータで作成した設計データをもとに樹脂などの材料を吹き付けて塗り重ねることで立体物をつくる装置である。
一般的に部品の製造は、通常は金属製の金型に材料を流し込んで成形していたがが、3Dプリンターを用いると金型が不要となる。その為、ここ最近、試作品の成形目的を中心に世界中で急速に普及してきた。
都度、金型を作るとコストが高くつくような、顧客ニーズに合わせてきめ細かく形を変える必要がある多品種で少量生産の事業に向くとされている。
今までは、一品ものの試作品や個人の需要に合わせたビジネス(趣味の分野や医療関係など)に利用されることが多かったが、部品の量産が可能なレベルの耐久性と精密な造形ができる製品が開発されれば、より本格的な製造業に利用される市場が開拓できるだろう。
例えば必要数量がそれほど多くない航空機や高速列車、ハイエンドの自動車や高級家電商品など、そして防衛産業に関わる部品製造などの分野で、その活用の可能性には期待がかかる。
従来は、3Dプリンターの製造メーカーにはベンチャー企業が多く、米国ストラタシス(Stratasys)社と同じく米国の3Dシステムズ(3D Systems)社が世界シェアをほぼ分け合っている。金額的には、2013年に約30億ドル(約3,200億円)だった市場規模が、2020年にはその約7倍にまで拡大するとの予測もある。
リコーは2016年度中の製品化を目指しており、既述の3Dプリンター業界の大手企業である米国のストラタシス社に提供しているプリンタヘッドの技術や、光を当てることで即時に凝固するインク技術などを活用して自社の優位性を確保する。そして主に、自動車・電機関連の部品の量産製造に向けた需要を狙うとしている。
また企業向けに3Dプリンタ活用を支援する拠点「RICOH Rapid Fab」(リコーラピッドファブ)を9月中に開設することも発表した。
当面は、ストラタシス社などの3Dプリンターの輸入・販売と、これらの製品を使用した受託製造サービスを開始する予定だ。このサービスを通して顧客ニーズを掴み、自社の製品開発に活かすという。尚、リコーの製造・販売するプリンターの価格は、500万円/1台~2,000万円/1台程度を想定しており、最終的な自社開発品の販売までを含めた3Dプリンター事業全体で、年間50億円の売り上げを目標に据える。
一方、キヤノンは、2019~2020年頃に向けて具体的な事業化を進めている。既に初期レベルの試作機の開発には成功しており、超高精度で造形が可能な精密性を追及した3Dプリンターの完成を目指している模様だ。
セイコーエプソンも5年以内の事業化を狙っている。様々な産業のニーズに対応出来る様に、樹脂以外の金属なども材料に使用可能なプリンターの開発を目指しているとのことである。
1台10万円を切る様なローエンドのモデルも販売されている3Dプリンターだが、それらを個人で使いこなすことで趣味を極めたり起業のチャンスなどもあるだろう。
また、本格的な事業用3Dプリンターが数多く販売されるようになれば、産業の、特に部品等の製造業の活性化に繋がるのは間違いない。
しかし、いずれにしても設計データの制作ノウハウが重要であることを忘れてはいけない。このソフト面での充実も、ハードの開発に劣らず大事であることを改めて認識する必要がある‥‥。
-終-
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