例の事件? 以来、科学誌に掲載された論文には懐疑的な筆者ですが、磁石で病原体を取り除けるのならば、これはやはり画期的でしょう!!
本当であれば、是非、開発を進めて欲しいものです・・・。
AFPによれば、英国の医学誌ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)に9月14日、磁石を使用して血液からウイルスや細菌などの病原体、更に毒素等を除去する装置(バイオ脾臓)が開発されたとの研究論文が発表されました。
これにより、敗血症などの感染症に有力な治療法が確立される可能性が出てきました。
現在はラット実験の段階で、まだ人間でのテストは実施されていませんが、論文を発表した米国ハーバード大学(Harvard University)などの研究チームは、この装置(バイオ脾臓)を利用して、将来的にはエボラウイルスなどの病原体を血液から取り除ける可能性があると表明しています。
脾臓(ひぞう)を模した働きをするこの装置(バイオ脾臓)には、遺伝子組み換えされたマンノース結合レクチン(MBL)と呼ばれる人間の血清タンパク質でコーティングされた磁性微粒子(ナノビーズ)が使われています。
病原体や毒素がMBLと結合する性質があることを利用して、磁力で引き寄せることで、磁気を帯びているMBLと結合している病原体や毒素を取り除くことが可能であると、研究チームは論文で述べています。その後、浄化された血液は再び循環系に戻されるといいます。
この装置(バイオ脾臓)は、本来、敗血症(血液の感染症)を治療するために開発されたようです。現在、敗血症の患者数は全世界で毎年1,800万人に上り、死亡率は30~50%にもなります。
AFPの取材に対し、発表された論文の共同執筆者の一人、ハーバード大学のドナルド・イングバー(Donald Ingber)氏は、人間に対する安全性が確認されれば、「この装置(バイオ脾臓)を用いて患者を治療できるようになる可能性がある。この装置は患者の血液を物理的に浄化し、幅広い種類の生きた病原体だけでなく、死んだ病原体の断片や毒素なども血液中から速やかに除去できる」と述べました。
また、このMBLはマールブルグ出血熱ウイルスやヒト免疫不全ウイルス(HIV)とも結合するとされており、更にエボラウイルスにも結合するため、「この装置(バイオ脾臓)は、エボラ出血熱患者の治療にも役立つ可能性がある。エボラ出血熱が最も高い伝染性とウイルス血症を示す段階にある場合でも、このバイオ脾臓で患者を治療し、血液中のウイルスの量を減らすことができるかもしれない」とイングバー氏は語りました。
この論文によると、有害な黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)や大腸菌などの細菌に感染中の生きたラットを使用した実験でも、この装置(バイオ脾臓)によって90%に上る細菌を血液中から取り除けたといいます。
また人間の血液を用いた実験で、同様に多種の細菌類や毒素がこの装置(バイオ脾臓)で除去されることが確認されています。
もし血液中から病原体(ウイルスや細菌)を取り除くことができれば、様々な疾病の治療法が飛躍的に進化するでしょう。
感染症全般に有効であるとともに、各種毒素の除去にも役立つ点も大きく評価されます。
今後の研究の進展と、この装置(バイオ脾臓)の実用化が待たれます!!
-終-
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