アニメ映画『紅の豚』の挿入歌となっている、『さくらんぼの実る頃(Le Temps des cerises)』のことはご存知だろうか。
グレコの十八番(おはこ)として有名な一曲だが、そんな佳曲も、もうすぐ生で聴ける・・・。
御年87歳、圧巻といわれる彼女のライブパフォーマンスに、一刻も早く接してみたい!!
ジュリエット・グレコ(Juliette Gréco)は、フランスのモンペリエ出身で、1927年2月7日生まれの歌手で女優。87歳の高齢だが、現在も現役で活躍中だ!!
父はナポレオンと同じコルシカ島の出身。母は第二次大戦中の対独レジスタンスの女戦士だった。幼いジュリエットは母方の祖父母に育てられたが、やがて彼女自身もレジスタンス活動に参加したという。
連合軍による1944年のパリ解放後、芝居の勉強のためにパリに出てきていたグレコは、そのあまりの美少女ぶりが、米国の写真誌『ライフ』のカメラマンの目にとまり、特集のモデルとして雑誌に登場することになったという。
彼女は戦後の1946年には、パリのサン=ジェルマン=デュ=プレを拠点としてボヘミアン・アーティストとして活動を始めた。長い黒髪をなびかせながら、全身黒服で歌うのがジュリエットのトレードマークで、彼女はジャン・ポール・サルトルやボリス・ヴィアンらの著名な作家に可愛がられたそうだ。
また、有名なJAZZトランペッターのマイルス・デイヴィスとは恋愛関係にあったらしい。俳優ミシェル・ピコリと1966年に結婚し、1977年には離婚している。
その後、詩人たちはこぞってグレコに歌詞を書き、彼女はエディット・ピアフ賞、ACCディスク大賞などを受賞してシャンソン歌手としての地位を確立していった。
ちなみに、冒頭で紹介した『さくらんぼの実る頃(Le Temps des cerises)』は、1992年にスタジオジブリのアニメ映画『紅の豚』の挿入歌として用いられたが、劇中では加藤登紀子が声優を務めたマダム・ジーナがこの曲をフランス語で歌う場面が登場する。尚、同年に発売された加藤のシングルCDには、日本語の他にフランス語のバージョンが収録されていた。
当然ながら、代表曲の『パリの空の下(Sous le ciel de Paris)』などを歌う歌手として有名だが、筆者にとっては、歌手であるとともに映画女優としてのグレコも記憶に残っている。しかし改めて調べてみると、映画に出演していたのは60年代までで、70年代以降は歌に専念しているのだ。
そんな映画に関しては、1949年に詩人ジャン・コクトーの映画『オルフェ』に出演して以来、ハリウッドの大物プロデューサーであるダリル・F・ザナック製作の映画にも多数参加しているが、主な出演作を挙げてみると、『オルフェ 』(1949)、『神々の王国 』(1949)、『恋多き女』(1956)、『陽はまた昇る』(1957)、『悲しみよこんにちは』(1957)、『自由の大地』(1958)、『世界の歌物語』(1963)、『アンクル・トム』(1965)、『将軍たちの夜』(1966)、『想い出のサンジェルマン』(1967)などと、数多い。
ジュリエット・グレコは昨年(2013年)10月に、2年ぶりの新作アルバム『ブレルを歌う(Greco Chante Brel)』をフランスで発表(日本版は2014年1月リスペクトレコードより発売)した。
ジャック・ブレル亡き後、彼の作品を歌い続けてきたグレコが、ブレルの作品をブリュノ・フォンテーヌの全く新しいアレンジでスタジオ・レコーディングしたものである。
尚、今年(2014年)の5月16日と17日の連夜、彼女はパリのオランピア劇場でリサイタルを行って、万雷の喝采を浴びている。
今回の来日公演の内容は、
【公演場所・日時】
1.すみだトリフォニーホール(東京) 2014年9月24日(水)19:00開演
2.Bunkamuraオーチャードホール(東京) 2014年9月26日(金)15:00開演
【メンバー】
ヴォーカル:ジュリエット・グレコ
ピアノ:ジェラール・ジュアネスト
アコーデオン:ジャンルイ・マティニエ
【演奏曲】
パリの空の下、ジョリ・モーム、小さな魚と小さな鳥、アコーデオン、
ジャワネーズ、懐かしき恋人の歌、孤独への道、ブリュッセル、
行かないで、時の流れに、いつかの二人、プレヴェールに捧ぐ、
桜んぼの実るころ,老夫婦、アムステルダム 他(予定)
である。また本コンサートは全編訳詞の字幕スーパー付きとのこと。
デビュー以来、「自分の気に入った詩しか歌わない」という姿勢をまったく崩さないグレコだが、今や87歳という年齢ながら、定期的に新作アルバムを制作しては世に発表し続けている。
また、それに合わせてリサイタルを開催するという活動を現在も続け、更には、世界各国を巡り乍らコンサートを開いている。
尚、今回の日本公演は初来日から53年、23回目の来日となる。
現役最高峰のシャンソン歌手、ジュリエット・グレコ。 その年齢を感じさせない伝説のディーバの姿を、東京で観られる幸せを噛み締めたい!!
-終-
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