例えば、シュワちゃん主演のSF映画『トータル・リコール』では、架空の記憶を脳内にインプットするテクノロジーが登場します。
こうしたSFの世界ではごく当たり前のことでも、それが現実に行われるとなると、ビックリです。
記録だけの一方通行のみではなく、視聴覚(ビジュアル)での再生方法が確立されれば、それこそ画期的なのですが・・・。
本年(2014年)9月に開始された、ミレニアム・マグネティック・テクノロジー(Millennium Magnetic Technologies、以下MMT)社の記憶保存サービスが、世界中の注目を集めています。
このサービスは、MRI(磁気共鳴画像装置)によってスキャンした脳のパルス情報により、人間の記憶をデジタルデータとして保存するものです。
MMT社の創立者であるドナルド・マークス氏は、神経工学の研究中に、脳の活動パターンを記録すれば人間の思考や記憶も記録できる可能性があることを発見しました。その結果、彼は特許を取得した記憶認識技術によって、世界初の記憶保存ビジネスを開始したのです。
人の記憶を記録するには、MRIで脳内をスキャンしながら、凡そ40種類の質問をして、その回答による様々なパルスの変化を観測していきます。質問と質問の間には10秒程度の間隔が必要な為、この記録作業には10分以上の時間がかかるそうです。得られた分析結果は、MMT社のデータサーバに保存されます。こうして、自分の記憶を記録として恒久的に残すことが可能となるのです。
残念ながら現在の技術では、記録されたデータを脳内に記憶として戻すことは不可能です。つまり、この記憶保存サービスは、保存するだけの片道キップなのです。
しかしMMT社によれば、将来的には保存データを視聴覚(ビジュアル)化して再生することは可能だといいます。テレビ画面などで保存した自分(or 他人?)の記憶を観ることが出来るということです。
アルツハイマーなどの認知症の方々などには、現状のレベルのMMT社の記憶保存サービスでも、その活用には大きな意味があるかも知れません。
症状の進行が進まない内に大事な記憶を記録しておけば、後々、技術が進歩して視聴覚(ビジュアル)化に成功した暁には、患者自身は当然のこと、その家族が患者の記憶を共有することが可能となるからです。
当然、認知症に限らず、自分自身の記憶を子孫に残すことが可能になるのですから、やはりこれは革新的なことでしょう。
忘れたくない思い出を一生守ることが出来るだけでなく、子や孫に自身の記憶を伝えることが出来るのです。特に高齢化の進む社会では、今後非常に注目されるサービスとなるでしょう。
ちなみに、MMT社の記憶保存サービスの料金は約2,000ドル(およそ21万円)とのことです。まだ高額ですが、技術の進歩と需要の増加で低価格化が進むかも知れません。
ところで、保存期間はどの位かメンテや保全体制はどうなっているのか? そして保存が長期間にわたる場合のサーバー費用はHow much? など、具体的なことが気になります。
特に視聴覚(ビジュアル)化の実現に関しては、相当な困難が伴うと思われますが、如何でしょうか・・・。
脳内のパルスを記録する技術は以前からありましたが、具体的にビジネスとして運営を開始したことが素晴らしいですネ。
アイデアだけの一発屋ビジネスで終わらずに、継続して技術開発を続けて欲しいものです!!
-終-
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