【超入門】 フライトジャケットのメンテナンスについて 〈13JKI00〉

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本記事では、革製品であるフライトジャケットを中心に、その保守/メンテナンスの方法や注意点などを簡単に紹介していく。

良質のレプリカやヴィンテージもののフライトジャケットなどのレザー(革製)ジャケットには、洗濯機・乾燥機の使用やドライクリーニングは向いていない。

天然の革素材などで製造されている場合には、著しく劣化したり、全体や部分的にフォルムが変形する恐れがあるからだ。またAIR FORCEマークなどを熱転写しているジャケットなどは、ドライクリーニングによりマークが薄くなったり消えてしまう可能性もある。

また、故意に汚したり中古風に加工(エージング)することは、高いリスクが伴うことを承知の上でトライして欲しい。

 

 洗浄の方法

多少の汚れの場合は少量のミンクオイルなどでの拭き取りでも落ちる。汚れが目立つときは、レザーソープや中性洗剤を水で薄めたものに浸した布などで軽く拭き、その後、その洗剤を含んだ水分を別の布などでしっかりと拭き取る方法が良いが、その場合でも色落ちや色ムラ等になる恐れがあるので、一度目立たない部位で試すことが肝要だ。

B-3、B-6などのシープスキン(羊革)ジャケットの場合は、ウール系の洗剤を使うと良い。ウール系洗剤を水(できれば湯)で溶いて手洗いするか柔らかい洗濯用ブラシで擦る。洗濯後は水気を拭き取ったあと、陰干しをして完全に乾燥する前に革部分には油脂分を補給する。

洗浄のあと、乾燥させるために日光や暖房、アイロン・ドライヤーなどの熱を使用することは厳禁だ。硬化や、縮みの原因となる。

またメインラベルに「DRY CLEAN ONLY」と記載されているジャケットもあるが、ドライクリーニングはこれも上記のような理由で避けるべきである。

 

着用上の注意点

着用している間は大きな問題はなく汚れや埃が気になれば布や柔らかいブラシで払うこと。しかし革製品にとって大敵なのは油脂切れであり、油脂切れは革繊維の硬化を招き革切れ等が発生するので、専用の革用オイルやクリームを適量、手や布に付け革全体に薄く塗り延ばして油脂分を補給する。

この際に使われる代表的なオイルがミンクオイルだが、油脂分の補給のみならず汚れ落としの作用もあり、レザー(革製)ジャケットを扱うメーカーや店舗で販売されているものを使用するのであれば間違いない。

但し、色落ちや変色することも有り得るので、事前に目立たない部位で試してみることを勧める。オイルの塗り過ぎにも注意が必要だ。塗り過ぎた部分は一日も経過すると白く変色するので、塗り過ぎと思ったら早めに拭き取ること。

それからB-3等のシープスキン(羊革)ジャケットには別途の専用オイルを使用すること。また着古した風合いを楽しみたい場合はオイルを控えるのも一つの方法だが、革の極度の劣化や硬化などのリスクもあることを覚えておこう。

また、レザー(革製)ジャケットは着ているだけで体温や身体から分泌する脂分や汗が革にまわり天然のメンテ材となる。そこで最も効果的なメンテナンス方法は着用する事となり、頻繁な着用でオイルの補給もあまり必要ではなくなる。

更に、革製品にとっては水分や湿気も天敵であり、裏地が汗などで汚れた場合はカビが発生しないように通気性の良い場所に保管すること。雨・雪などに濡れた場合は、水気を充分に拭き取り形を整えて通気性の良い場所で陰干する。

革はなめされる際に油脂分を付与されているが、水分が乾くときに油脂分も合わせて持ち去ってしまうので、乾燥する前に通常よりやや多目のオイルを与えることが必要。その後は余分なオイルは乾いた布で拭き取ること。

 

シーズンオフの保管方法

シーズンオフの保管は型崩れを防ぐために太目のしっかりしたハンガー(針金ハンガーはNG)に吊るす。当然だが重ね掛けも避ける。また埃や湿気を避けるために通気性の良い乾いた大きめの布等(ビニール袋の使用は逆効果)を被せ、併せて防虫、防湿剤などを用いると効果的だ。

但し畳んで収納すると折り皺がつくし、湿気にやられる。また時々は取り出してカビやニットの虫食いなどをチェックする。特に梅雨どきや湿気の多い季節などには、こまめに取り出して点検をしよう。

 

ナイロンジャケットのメンテ

ナイロンジャケットはレザー(革製)ジャケットのようなメンテナンスは必要ない。しかし、レザージャケットよりも汚れが目立つこともある。

汚れた場合は洗濯機での丸洗いも可だが、不安のある人はクリーニング店へ依頼するのが確実だ。着用回数の多いシーズン中は1週間に1度程度、柔らかい布やブラシなどでサッとから拭きする程度で汚れは防げる。

 

さて、フライトジャケットなどのレザー(革製)ジャケットのメンテナンス方法を紹介してきたが、特に洗浄方法などについては万一のトラブルがあるかも知れない。実施する場合は事前に試すなどして、あくまで自己責任でお願いする。

-終-

 

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