【科学ニュース】 NASA、地球からのデータ送信で3Dプリンターの稼働に成功!! 〈93JKI11〉

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ISSに設置されているZERO-G PRINTER

物質転送装置はSFの世界ではさほど珍しくはないアイテムです。しかし遠隔地に物質を転送することなどは、現実の科学技術では実現不可能だと思っていました・・・。ところが、ほとんど同じ結果を、データ送信による3Dプリンターの活用で成し遂げることが出来るのです!!

 

確かに、ある物質の3Dデータを通信回線を通して伝送した先の3Dプリンターで再生すれば、同じモノが再現出来ますよね。転送したいモノが、ボルトやネジ、鋏(ハサミ)とかコーヒーカップなどであれば、ほとんど問題はないでしょう。つまり、作りたいモノが極めて簡単な構造や仕組みで、素材も単純で一般的な材料を用いる場合は、現在の技術の組み合わせでも充分、実現可能と思われます。

但しこの場合、厳密には転送機というよりは、同じモノを作るクローン製造機ということになりますが・・・。

 

さて、ここからが本題です。昨年(2013年)にはピザを出力できる食品3Dプリンターを開発する企業に出資したりと、宇宙空間における3Dプリンターの導入に積極的な米航空宇宙局(NASA)が、今度は、地球から3Dプリンターの出力データを国際宇宙ステーション(ISS)に送信し、そのデータを用いて宇宙ステーション側で対象物を出力・再現することに成功しました。

 

出典元記事によると、NASAは、国際宇宙ステーション(ISS)の責任者であるバリー・ウィルモア(Barry Wilmore)さんの「ラチェット式ソケットレンチが欲しい」との話を聞き、地球からISSにソケットレンチを送付することにしました。しかし、このことだけに補給ロケット等を打ち上げるのでは、当然ながら採算が全く合わなくて話になりません。そこで考えたのが、地球側からソケットレンチの出力データをISSに伝送し、ISSにある3Dプリンタでソケットレンチを出力しようという計画です。

ISSには無重力空間でも使用可能な3DプリンタZERO-G PRINTERが配備されており、開発元のMade In Space社がNASAの依頼でソケットレンチの出力データを制作しました。その出力データをNASAの本部に送信し、そこからISSに配備されているZERO-G PRINTERに転送しました。

その後、3Dプリンタがラチェット式ソケットレンチを無事、出力したという訳です。

NASAは今年(2014年)の9月に3DプリンターをISSに配備してから、宇宙空間での3Dプリンターの出力実験に成功(合計21個)しています。しかし、それは事前に用意していたおいた3Dデータを使用しており、地球から伝送したデータを用いて出力に成功したのは今回が初めてとのことです。

 

【出典元記事】
↓“Emailing” Hardware To Space — Backchannel — Medium

https://medium.com/backchannel/how-we-email-hardware-to-space-7d46eed00c98

 

先に述べた通り、決して本来的な意味での物質転送機とは異なりますが、宇宙空間に代表される遠隔地に少量の部品などを送る手段としては実用性の高い技術です。

尚、食品3Dプリンターも、同様に遠隔地で食べたいものが何でも食べられる可能性がある画期的な発明になるでしょう。しかし食品3Dプリンターに関しては、カロリーや栄養成分のコントロールが簡単なので、ダイエットや医療用目的での活用に期待が持たれています。

-終-

【参考】
↓3Dプリントでピザを作る会社にNASAが出資
http://gigazine.net/news/20140127-3d-print-space-pizza/

↓3Dプリンターで食べ物を印刷
http://gigazine.net/news/20130523-3d-printed-food/

 

 

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