スカイネット(巨大コンピューター)に人類は支配され、やがて駆逐されてしまうのでしょうか?
しかしターミネーターやハンターキラー(ともにスカイネットの手先ロボット)と闘うことは大変ですが、人類を助けてくれる味方のターミネーターもいるんだぞ、と映画は教えてくれました!!
果たして、現実の世界ではどうなるんでしょうか?
ホーキング博士の警告とは・・・
「人類が開発に成功している人工知能(以下、AI)は非常に役に立つことがわかっています。但し、高度に進化したAIは、人類に終わりを告げる恐れがあります」と、世界的に有名な筋萎縮性側索硬化症の宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士が、英国のBBC放送やフィナンシャル・タイムズのインタビューに答えて警鐘を鳴らしています。
博士によると、「ムーアの法則では、コンピューターは1年半ごとに処理速度と記憶容量を倍にすることができます。コンピューターは自ら能力を向上させ、人間の手を離れて自らを管理する存在になるでしょう」とのことであり、また「生物学上、ゆっくりとしか進化できない人類は(極めて高速度で進化する)AIとは勝負にならず、瞬く間に取って代わられるでしょう」とも述べています。
2025年には多くの仕事が奪われる・・・
ホーキング博士の発言は極端なものなのかも知れませんが、英国のオックスフォード大学の研究者によると、弁護士や会計士といった知的職業でさえ、機械化される可能性があると云われています。
また米国のシンクタンクであるピュー・リサーチ・センター(Pew Reasearch Center)は、昨年(2014年)8月に発表した報告書で、医療、交通や物流、顧客対応、そして住宅メンテナンスなどの事業分野で、AIや各種ロボットは、2025年頃までには現状に比べて、より広く深い分野に浸透することになる、としています。
そして同センターがアンケートした専門家1,896人の内48%にあたる人が、ロボットやAIが、多くの労働者から多数の仕事を奪い貧富の格差を拡大すると予想したのです。
技術革新は新たな仕事を創る・・・
しかし残り52%の回答者は、かつての技術革新は仕事を奪う以上に多くの仕事を創り出してきたことを考えると、従来の産業革命と同様にロボットやAIの進化により新たな職業・仕事が創出されるとしています。
歴史を振り返ると、技術革新は雇用を創出することこそあれ、雇用を一方的に簒奪するものではありませんでした。科学技術の進歩によって人間から機械に置き換えられる仕事はあるとしても、その科学技術の進展に伴って創造される新しい産業によって多くの雇用が創出され、新たな仕事が用意されてきました。
今までの産業革命でも多くの職業が衰退し、新たな職業が興ってきました。最初の産業革命が始まった頃、農業従事者の比率が激減し、鉱工業に関わる人々のウエイトが増大していきました。その後20世紀半ばから後半にかけては、工業労働者の減少が進みサービス産業の従事者が飛躍的に拡大します。蒸気機関の発明、電力活用による大量生産、コンピューターと通信革命、といった産業革命の各段階を経て中心的な職業も変遷していきました。
重要なのは教育だ・・・
ここで重要な問題は、その新たな職業・仕事の内容に適応する能力を、人間の側が身に付けられるかにあります。旧態依然とした教育制度は時代遅れとなり、新たな知的産業革命に備えた教育制度やその充実が必要となります。
また、従来型の黙って言われたことを暗記するだけの詰込み型教育を受けた人材では、この知的産業革命の時代には対応出来ないと思われるのです。
更に、従来の技術革新は比較的ゆっくりとしたものであったため、人間は再教育を受けて別の新しい職業に順応することが可能でしたが、現在のロボットとAIの進化の速度は大変速く、この変革に対応することはこれまでにないほど難しいと考えられています。
人間ならではの仕事が大切・・・
近い将来には、現在、最も多くの人々が働いている一般のサービス業においても、どんどんと機械化が進行し、人間がサービス業に継続して携わる為にはより高いスキルが求められる様になり、単純労働者にとっては深刻な影響があるともされています。
その為、人間は、思考力や想像力、問題の解決力などといった「人間ならではの分野」で実力を発揮して生き残るしかありません。この様な人間的な能力を磨くための教育プログラムの実施が重要となるのです。そして新たな教育を受付けず、過去の職業や仕事にとらわれて変化を拒む人々は、ロボットやAIに淘汰されて職業を奪われていくと考えられるのです。
尚、この様な趨勢の中で、雇用への影響を最小限に抑えるためにロボットやAIの活用に関して法的な規制を整備するべきである、との過激な意見もある位なのです。
ホーキング博士が警告する、自己増殖するコンピューターネットワーク(スカイネット)の出現は確かに心配ではありますが、「コンピューターには出来ない、人間ならではの仕事」を極めることが、私達が21世紀を生き抜くポイントになるでしょう。
我国の経済産業省は、成長戦略を支える「ものづくり」人材の育成を強調していますが、この「ものづくり」という仕事が、今後のロボットやAIの急速な進化の中で、人間が担う価値ある職業となれば良いのですが、まずは期待してみましょう・・・。
-終-
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