2年ほど前に、地元の最寄り駅の直ぐ隣にあった書店が閉店しました。雑居ビルの1Fと2Fを占有した中規模の店で、新刊書から雑誌、文庫に新書など、取り敢えず一通りの書籍が揃う品揃えだったのですが、突然の店仕舞いには驚いたものです・・・。
客入りもまずまずと思っていましたから、その閉店にはビックリ。本好きの人間としては、誠に不自由でしんどい生活が始まりました。
勿論、隣駅に行けば書店はあるのですが、ちょっと話題の本を観てみようというだけで電車に乗るのは億劫だし、職場からの帰宅時にわざわざ途中下車するのも大変です。「ぶらり書店」という、目的もなくぶらっと本屋に寄る、という楽しみがなくなってしまいました。
以前と比べて、雑誌などもまずは買わない。不要不急なモノを買い込まないという点ではプラスなのかも知れませんが、知的な好奇心の充足ということに関しては、なんだかポッカリと大きな穴が開いてしまった様に思えます。
どうしても手に入れたい書籍は、遠路はるばる都心部に出て大規模書店で購入することになりましたが、これも余程必要に迫られないと出かける気になれません。たまたま仕事などで移動中に大きな書店を見つけると、時間が許す限り立ち寄るのですが、そこでまとめ買いするのも、その後に持ち運ぶことを考えると、どうしてもセーブしなければなりません。
従来は仕事柄、様々な事柄を知る必要がある時は書店で関連の書籍を探したものですが、最近ではリアル書籍を手にしようとする気持ちが薄れ、ネットで調べて終わらせよう、という考えに傾いている自分を強く意識してしまいます。こうして、きっとどんどんとリアル本離れが進んでいくのだろうと思います・・・。
さて全国の書店数の推移と閉店の状況ですが、新刊書を扱う書店が地元にない自治体数が、全国で4市を含む332市町村に拡大して全自治体の5分の1となったことが、書店のデータベース「ブックストア全ガイド」を発行する出版社アルメディア(東京都)の調査で判明しました。
尚、この調査での「書店空白都市」の4市は、北海道歌志内市、茨城県つくばみらい市、宮崎県串間市、鹿児島県垂水市でした。
つくばみらい市以外の3市は、昨年(2014年)に民間有識者でつくる日本創成会議が、「消滅可能性都市」に指定した自治体と重なります。また消滅可能性都市とは、少子化や過疎化、そして出産の中心世代となる20~39歳の女性が2040年までに半減する為に、人口が急減して生活基盤が崩壊すると推計された全国の896自治体のことで、書店のない332自治体の70%強がこの消滅可能性都市と重複しました。
更に都道府県別では、1位が北海道の47市町村、2位が長野県の35町村、3位は福島県22町村という順に「書店空白地域」が多いことも判りました。
また、昨年(2014年)11月末時点での全国の書店数は1万3,736店で、調査が始まった2000年(2万1,654店)以降では最低であり、この14年間で37%も減少しています。最近は毎年約300店舗ほどが減少しており、毎日およそ1店弱の書店が全国のどこかで閉店している計算になります。但し、店舗数は減少を続けていますが総売り場面積は増床しており、大規模店舗は増えていることを裏付けています。
地方の中小規模店舗の閉鎖傾向に関しては、単純に地方での書籍の購入者が減っていることに加え、書籍などを扱うコンビニ店舗の増大やネットでの書籍通販の拡大などが大きく影響していると考えられます。また中小規模書店の減少の背景には、雑誌の売れ行き不振があるとも言われています。
自分の経験に照らし合わせてみて、書店の減少は只事ではない大きな文化的問題だということが身に染みて分かりました。身の周りに書店がなくなると、本や雑誌を買わなくなるのです。そして段々とその様な状況に慣れていきます・・・。
これはリアル書籍と接する機会が減ると、敢えて本は不要と切り捨てるかデジタルコンテンツで代替するようになるということでもあります。別に問題ないでしょ、という意見もあるでしょうが、果たして本当にそれで良いのでしょうか!?
-終-
【追記】
2012年のジュンク堂の新宿店の閉店もショックでしたが、リブロ池袋本店が今年の6~7月に閉店することが発表されました。これまた大ショックです!!
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