「何故、勲章や腕章は左側(向かって右側)に付けるのか?」という話は、雑学の一つとして広く知られているが、先日もこの話が友人との会話の端に上った。まだまだ雑学ネタとしてニーズがあることが窺えたので、改めてご紹介したい・・・。
通常、勲功を表した勲章やその略綬、何らかの組織に所属していることを表すバッジや腕章などは、左胸や左腕などに付ける。
スポーツ、例えばサッカーのキャプテンマーク(腕章)などもそうだし、議員バッジや弁護士・検事のバッジ、企業の社員章なども左襟に付けることになっている。
では何故、この勲章や腕章は体の左側につけるのだろうか。その答えの一つは、中世の十字軍に由来するといわれている。
多くの方がご存知とは思うが、十字軍とは中世において、欧州中・西域のキリスト教徒、特にカトリック系の諸国が、キリスト教の聖地であるエルサレムをイスラム教徒から奪還する為に送り出した遠征軍のことである。
しかし一部の十字軍や北方十字軍などの活動では、遠征の対象はイスラム教徒ばかりではなく、目的地も必ずしもエルサレム周辺であるとは限らなかった。
また十字軍の影響で、東西交流が盛んになったり、遠征に参加した封建領主たちの没落と徴税権利を強化した各国君主や教皇の権力が拡大したりと、以後の時代に様々な変革が表れていった。
故郷を離れ、遠く中東地区に赴き戦った十字軍の戦士たちは、命をかけたて戦い抜いた証として、その戦勲を賞して上官・君主から授与された貴金属の記章等(勲章のルーツ)を、自らの(生命の象徴である)心臓のある側(左胸)に佩用したとされている。
そしてこの事が、後に西洋諸国の勲章等の装着のルールに繋がったとされているのだ。
そしてもう一つの理由は、多くの人々が右利きである事に関係しているそうである。つまり、右手を使うと左胸や左腕に記章や腕章を付け易いという、非常に当たり前のことなのだ。
さて、軍服などでは体の右側に付けてある記章やワッペンもあるが、より上位のモノは左側に優先して装着しているようだ。
但し勲章の装着部位については、厳密には左胸(向かって右胸)が最高位の装着場所とは限らない。勲章を取り付ける位置や方法は勲章の序列や等級により異なり、装着の位置や方法を変えることで等級の判別が可能となっているのだ。
勲章の種類によっては、頸飾や中綬といって鎖や綬(リボン)に吊るしたものを首(両肩)から下げたり、大綬と呼ばれる肩から腰にかけて襷掛けした大きな綬(サッシュ)の腰部分に装着するものもある。
また雑学ネタについて面白い話があったら、是非、紹介したいと思う・・・。
-終-
《スポンサードリンク》