お笑いコンビ「ピース」又吉直樹さんの小説『火花』効果で、文芸誌『文學界』が増刷へ!! 〈42JKI35〉

又吉1ダウンロード又吉直樹さんの中編『火花』だが、皆さん、ちょっと褒め過ぎではないか!? 最近の若い人たちは、良質の純文学をあまり読んでいないから、この作品に驚くのかも知れないが・・・。

と云いながらも、良くやった、頑張った凄いぞ、と思う。なかなかイイじゃないか又吉さん、多くの人々に純文学への興味・関心を集める広告塔たれ、先ずは読んでもらうことが大事、断然結構な話だ!!

 

7日発売の文芸誌『文學界』(文藝春秋)の2月号だが、8日には7,000部の増刷が決定されたが、その後、更に2万3,000部の追加刷増しが決まり、昭和8年の創刊以来で最高の4万部の発行となる見通しと伝えられた。

この号には、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんの中編小説『火花』が掲載されていることが大きな話題となっており、テレビなどのマスコミでも幅広く取り上げられたことで、事前の宣伝効果は抜群であった。

しかしこれは凄いことだ。純文学専門の月刊誌としては、とてつもない快挙である。もちろん、全てが又吉効果ではないだろうが・・・、いやいや、全てが又吉効果だろうと思う。

又吉3ダウンロードたった一人の作品がこの様な結果を引き起こしたことに、「芸人風情(ふぜい)が・・・」と言っては、きっと純文学界からは嫉妬ややっかみの声が噴出するだろうが、そんなことはどうでもいい、無視すればすむことだ。(あれ、そんな心配はいらない。それどころか皆な素直に喜んでいるらしい!? との話も聞こえてくるが・・・)

また『文學界』の武藤旬編集長が、「(又吉さんは)鋭い観察眼と独自の文体を持っている。知名度のあるタレントだからではなく大型新人作家として大きく扱いたいと思った」と話しているが、これも、なんだか見え据えたウソの様に感じてしまう。正直に、新たな読者を獲得する為の話題作りであり起爆剤として起用した、と述べれば清々しいのになぁ。

どちらにしても、結果が全てとは言わないが、多くの読者を純文学の世界に導く切っ掛けとなった又吉作品は、間違いなく魅力あふれる小説なのである。素直に、そう認めればそれでいい。

 

さて、400字詰め原稿用紙で230枚ほどの中編『火花』だが、その内容はというと・・・。

成功出来る者はほんのわずか、そんな芸能界の一端で、若手芸人の「僕」を語り手に、ちょっと癖のある先輩芸人「神谷才蔵」の才気と挫折を中心に芸人仲間との切ない日々を描くストーリー。お笑い界での成功、その魅力と不条理な一面や怖さがよく表現されており、途中緩急もあって泣けて笑える青春物語だ。

その独特の文体が評価されている様だが、始めの内はあまりにも改行が少ないので、非常に読み難いのだ。どうしても一気に読ませずに、じっくりと読ませたいのか? と勘繰られるほどである。本来中編なので一気に読める分量なのだが、なかなか調子が出ない。しかし中程までくると、不思議とスラスラと読みやすくなり、最後は少々意外なオチに驚きながら感動と共に読み切った。

実際に『火花』を読んだ、10代や20代の若い人達の感想の多くは、感動した、面白い、良かった、という評価が圧倒的の様だ。

しかし、あまりにも高い評価には注意が必要だ。本作は又吉直樹さんの純文学作品としてのデビュー作であり、まだまだ成長の見込める将来有望な作家の過渡的な小説だからである。良作として本作を認めた上で、若い読者諸兄には、別の多くの純文学作品を読んだ後に、また又吉作品に戻ってきて欲しいと思う。言い換えれば、この小説が今まで純文学に触れた事が無い読者の掘り起しに繋がれば、それだけでも、その使命は充分に果たしたと言えるのだ。

 

又吉さんは、「今回、『火花』という小説を『文學界』に書かせていただきました。今まで書いた文章の中で、最も長いものになりました。僕は、人間を深く掘り下げた小説に何度も救われてきました。『火花』は自分なりに人間を見つめて書いた作品です。小説好きの方はもちろん、普段読まない方にも漫才だと思って読んでいただけると、うれしいです。すみません、ボケるの忘れてました。劇場にも毎月立っていますので、ぜひ遊びに来てください。」と述べている。

尚、『火花』の冒頭部分は、下記の「立ち読み」コーナーで試し読みが可能だ。
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/bungakukai1502.htm

 

この作品は3月には単行本として発行の予定だという。純文学作品として『文學界』に掲載されたが、内容も通俗的な芸人の世界が舞台であり、ボリューム的にも中編ということもあって、芥川賞というよりは直木賞(もしくはダブル受賞!?)を十分に狙える作品であると思うが、どうだろうか・・・。

-終-

【続報】『火花』は単行本初版が20万部。7月17日現在、64万部。そして第153回芥川賞を受賞、快挙である!!

【続々報】2017年5月には累計発行部数が、300万部を超えている!!

 

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投稿者: 立石文世

立石文世(たていし ふみよ/通称 ぶんせい)と申す。准将殿の紹介で認定投稿者に参加させて頂いた。あまりジャンルにこだわらずに幅広いカテゴリの記事を扱っていきたいと思う。頑張って投稿するので、応援、よろしく頼むぞな、もし。