「若干」と「弱冠」、読み方はいずれも“じゃっかん”ですが、字面(じづら)を見るとこれはどう見ても別の言葉ですね。しかし結構、日常の会話などでは間違えて使われているみたいです。そこで改めて、本来の意味を調べてみましたので、ご紹介します・・・。
「知らぬが吉日」なんて言葉はありませんが、疑問に思ったことは即日調べることにしています。疑問のまま放っておくと精神衛生上良くないし、疑問を抱いたこと自体を忘れてしまうことがよくあります。また、小まめに調べると確実に知識も増えていきます。そこで「 若干」と「弱冠」について調べてみました。
「若干」は、辞書によれば「干を一と十に分解して、一の若(ごと)く十の若しの意」ということで、(何だかいま一つ分かり難いですが)「一から十までの間のいくつかはっきりしない数」といった解釈になります。また、もともとは「若」という字は「未定」、「干」には「個」という意味があるそうで、即ち「若干」は、「個数が未定」という意味も持つのですが、「多くても一桁の数」ということになると思います。
実際の使われ方としては、そこまでは厳密ではなく、はっきりしないが、あまり多くはないという意味で使われることが多いようです。
その為、いくらか、少しばかり、多少、といった意味合いとなり、「若干の金を借りる」「若干の問題が生じる」などと用いられます。
これに対して「弱冠」の意味ですが、中国の古典(『礼記』に「二十ヲ弱トイフ。冠ス」とある)では、男子の20歳を「弱」と言いました。その歳になると、元服をして大人の証として冠を被る様にもなります。その為、二十歳のことを「弱冠」と云う様になりました。
だから、本来は「弱冠」といえば20歳限定なんです。また原則として、この言葉は男性に用いるもので、女性には使いません。そこで「弱冠」を、女性とか15歳や24歳の人物に付けて呼ぶのは間違いなのです。また「弱冠二十歳(はたち)」という表現も、意味が重複してしまいます。更に「若冠」と表記するのは完全な誤りとなります。
但し、『礼記』の疏(「そ」といい、本文に加えた注釈。またはその注釈書)には、20歳前後から29歳までを「弱冠」と言うことが可能であるとの記載もあるそうで、対象の年齢には幅があったとも考えられています。
現在の用例としては、20歳前後を中心に対象年齢にも幅があり、単に年の若いことや年少であるにも関わらず成果を上げている人などを表す場合に使われることが多い様ですが、なるべく乱用は避けて、本来の意味を汲んで使用するべきではないでしょうか。
皆さん、「若干」と「弱冠」の違いについてお解り頂けましたでしょうか? また違いの解からない言葉や事柄を見つけたら、是非、調べてご紹介したいと思います・・・。
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