イエネコとは
私達ちが普通に飼っている、ちょっと難しく言うと、人間の生活圏で人間と共生して暮らしているネコのことを「イエネコ」と言います。哺乳綱食肉目ネコ科の動物で、このイエネコの学名は「フェリス シルヴェストリス カトゥス(Felis silvestris catus)」 といいます。
イエネコは人間に飼いならされたネコで、本来は保管している食糧(穀物)などを荒らす鼠(ネズミ)等を捕える為に飼育されていましたが、今日では主にペットとして飼われており、世界中に約30種(細かくは100種程度)の品種が生息しています。
またイエネコは、決して雑種やミックスではなく「イエネコ」という猫種であり、アメリカンショートヘアやペルシャ、メインクーンもあくまでイエネコの一種なのです。またイエネコは品種としては大きくはヤマネコに含まれ、少々解り難いですが、ヤマネコの一亜種という位置づけとなっています。
イエネコの祖先
現代のイエネコに最も近い直系の先祖は、中近東地域由来の「リビアヤマネコ(Felis silvestris lybica)」という品種だとされています。(前述の通り)今から約9.500年~1万年近く前に、中近東地域の砂漠地帯で暮らしていた野生のリビアヤマネコは、当時、農耕を開始した人間たちが収穫した穀物を狙う鼠などのげっ歯類を襲う為に、人間の集落に出入りする内に人間に馴れ、遂にはその一部が飼われる様になったとされています。
その後、人間に飼われたリビアヤマネコたちは、飼い主の移動と共に世界中に広まっていきながら多くの種類に分かれていきました。数千年の時を経てリビアヤマネコの体は小型化し、どう猛な性質は弱まり現在のイエネコの性格が形作られていきました。
またリビアヤマネコは他のヤマネコと比較して、現在のイエネコとの体型・体格などの類似に加え、より人間に懐き易いということがありました。
他のヤマネコは、誕生直後から人間に育てられても、なかなか懐くことはありませんが、リビアヤマネコだけは生後間も無くから人間の手で育てられると、人間に恐怖心を持つことなく共生が可能で、このことが以前よりイエネコの直接の祖先であるということの裏付けとされてきました。
更にミトコンドリアDNA解析で、リビアヤマネコがイエネコの祖先であることが科学的にも裏付けられました。
2007年6月29日に科学誌『サイエンス(デジタル版)』へ発表された米英独等の国際チームによる研究成果では、世界中のイエネコの合計979匹をサンプルとしたミトコンドリアDNAの解析結果により、イエネコの祖先は約13万1,000年前(更新世末期)に中近東の砂漠地帯などに生息していたリビアヤマネコであることが判明したとされました。
こうして、現在のイエネコの直接の祖先は、リビアヤマネコとされているのです。
尚、イエネコは、ヤマネコに比べて総じてサイズがやや小さいことを別として外見上に大きな違いありませんが、ヤマネコは野生の為、どう猛な性質・性格であることが特徴で、原則として人間の生活圏外に住んでいます。
片やイエネコは、人間によく懐き飼育環境に適応しており、犬に並ぶペットとして人間に親しまれています。
因みに、所謂(いわゆる)特定の飼い主のいない「ノラネコ(野良猫)」は、人間の生活圏内で生活しているので、ヤマネコではなく屋外で暮らすイエネコの一種ということになり、英語ではStray catと呼ばれています。
更に、もともとはイエネコだったものが、完全に野生化した場合は「ノネコ(野猫)」と呼び、区別する場合もあります。人間の生活圏への依存が全くみられないネコとの定義もある様ですが、現実的にはノラネコとノネコの境界線は曖昧とされています。