日本たばこ産業(JT)は2月4日、本年(2015年)9月末をメドに、飲料製品の製造や販売に関する事業から撤退をすると発表した。
しかし当面、子会社の自動販売機運用の事業は継続するとのことだ。
今後は主力のたばこ事業に注力、国際競争力の強化に努めるとしている・・・。
日本たばこ産業(以下、JT)は4日午後4時半からの記者会見で、缶コーヒーや清涼飲料水などを製造・販売している飲料事業について、今後、同社にとって大きな成長が見込めない分野として、本年(2015年)9月末をメドに製造・販売の事業から撤退する方針を明らかにした。
タバコの製造・販売が中心だったJTは1988年(昭和63年)に飲料事業に参入し、缶コーヒーの「ルーツ」や、清涼飲料水の「桃の天然水」などを中核商品として、2014年3月期の飲料製品関連の製造・販売事業の売上規模は約500億円にまで成長した。また優位に立つ自動販売機の運営ビジネスなども含めた飲料事業全体の規模は1,800億円に上っている。
しかし、強力な商品開発力を持ち広告・宣伝に多額のコストを投下出来る競合上位の企業とのシェア争いでは大きく苦戦を強いられており、昨年3月期の決算発表では営業損益が20億円余りの赤字となるなど業績が大幅に低迷し、厳しい経営環境下にあった。
そこで同社では、今後は少子高齢化などが理由で市場全体が成熟し伸び悩む中、高コストの投入が前提の事業の維持・継続は極めて困難であるとして当該事業からの撤退を決めたとしている。
尚、他社への事業全体の包括的な売却交渉は、同社にとってシナジー効果のある形・条件が見込めずに断念したというが、「ルーツ」や「桃の天然水」などの有力ブランドに関しては、今後も譲渡の可能性を検討するとしている。
現在JTでは、飲料事業に関するすべての製品を委託製造しており、直営工場などは有していない。また、飲料事業部の社員109人はJTグループ内で配置転換を実施し、子会社のジェイティ飲料所属の119人はJTでの再雇用などを検討する模様だ。
どの事業分野や産業でも、中堅や下位の会社が生き残ることは益々困難となってきている。上位大手2~4社くらいに集約されていき、中小企業の個性豊かな製品の開発・販売にも限界がある様だ・・・。
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