米国の大手家電量販店 ラジオシャックが破綻!! 〈658JKI28〉

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代表的な単独店舗型のラジオシャック店

タンディ・ラジオシャックといえば、古手のパソコン・ファンには懐かしいブランドネームだ。かつて1970年代の後半から1980年代にかけてタンディ・ラジオシャックのPCを購入した友人などもいた。

そのラジオシャックが経営破綻したという・・・。

経営状態が悪化していた米国の大手家電量販店チェーン、ラジオシャックコーポレーション(RadioShack Corporation/RSH)は、今月(2月)5日、米国東部のデラウェア州の裁判所に連邦破産法11条(日本でいう民事再生法)の適用を申請したという。

ラジオシャックコーポレーションは、家電量販店のチェーンを米国および欧州、南米の一部などで展開してきた企業。本社は米国テキサス州フォートワースにあり、2010年の資料によると、売上高は44億7,300万ドル、従業員は約36,400人、支店・店舗数は合計で7,150ケ所以上である。

 

実は、ラジオシャックはタンディ・コーポレーション(Tandy Corporation)が保有しており、そのタンディ・コーポレーションは1919年に皮革を扱う店として創業したが、1962年に経営難に陥っていたラジオシャック(1921年ボストンで創業と伝わる)を買収したのだ。その為、筆者などは近年まで『タンディ・ラジオシャック』というブランドネームでこの会社のビジネスを覚えていた。

2000年の5月に、会社名からタンディ(Tandy)の名前は消えてラジオシャックコーポレーションが正式な社名になった。

タンディ・ラジオシャックは、1970年代後半、当時はまだ珍しかったパソコン(PC)やPC関連製品の取扱いを開始し、1980年代半ば以降にはいち早く携帯電話の販売を始めて売上を拡大してきた。

しかし、ここ数年はアマゾン・ドット・コムなどネット通販大手に顧客を奪われ、経営が悪化していた。

米国の家電量販店に関しては、2008年にサーキット・シティー(Circuit City)が倒産しており、今回のラジオシャックの破綻で、残る全米規模の家電量販店のチェーンは、最大手のベストバイ(Best Buy)のみとなった。

尚、全米に凡そ4,000店舗ほど展開しているラジオシャックの店舗の内、一部は、我国の通信大手ソフトバンクの傘下である携帯電話会社スプリントが買収する方向で合意したそうだ。

ちなみに、タンディ・ラジオシャックは1970年代後半から1980年代の一時期、日本でも事業を展開していたことがある。

 

ところで、既に触れた通りタンディ・ラジオシャックは、コモドールアップルと共にパソコンの普及を牽引した企業である。

タンディ・ラジオシャックが製造・販売した「TRS-80(1977年)」、「TRS-80 Color Computer(1980年)」といった個人・家庭向けコンピューターは、筆者の記憶にも残っている。

特にTRS-80は1977年11月に出荷が始まり、同年12月のクリスマス前後からラジオシャックの店舗で販売された。ゲームを楽しむ一般家庭やスモールビジネスでの活用で人気を獲得した。

初期型のTRS-80は、QWERTY配列のフルストロークのキーボードを装備、浮動小数点数をサポートしたプログラミング言語「BASIC」を内蔵し、モニター付属で600ドルという価格で発売された。

TRS-80にはブラックジャックやバックギャモンといったゲームが同梱されていて人気を博した。また、給与計算、家計簿、教育ソフトなどがタンディ・ラジオシャックからカセットで発売されたり、多くのソフトがサードパーティから供給されて一定の市場を形成した。

その他の筆者にとって個人的に懐かしい製品としては、TRS-80 model 100がある。これは、1983年にリリースされた後のハンドヘルドコンピュータとも言える製品のはしりであり、我国の京セラが製造してタンディ・ラジオシャックが販売し、全世界で約600万台のベストセラーとなった。

小型で電池駆動方式、キーボードと液晶ディスプレイを一体としてあり、世界的にも初期のノートPCの1つである。

 

またその後、タンディ・ラジオシャックはPC/AT互換機市場にも参入し、その互換機は安価ながらサウンド機能やグラフィック機能が優れていたので、多くのユーザーの支持を得ていた。

しかしVGA規格が導入されて、サウンドブラスターが業界標準となる頃にはタンディ・ラジオシャックのPCの売れ行きは大きく落ち込み、1990年代の初めには自社ブランドの製造・販売を中止した。

 

ネット通販大手に顧客を奪われて経営が悪化していたとのことだが、リアル店舗の必要性は薄れるばかりなのだろうか・・・。

売場での販売員とのコミュニケーションで得られる各種の情報は? 実物を観て触って得られる事などは無いのだろうか? 

筆者は、現実の店舗がどんどん不要となることには賛成できないのだが、これも時代の趨勢なのだろうか・・・。

-終-

 

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