そういうことか!列車遅延案内の意味 2〈17/38/TFU03〉

okure列車の遅れる大きな理由、前回は人的な理由によるものを集めてみました。今回は、天候や気候が原因によるものをとりあげます。ここ数年、急激に増えている「ゲリラ豪雨」「爆弾低気圧」などの異常気象現象。鉄道にも遅れをもたらす大きな原因にもなっています。では、どのくらいの基準で列車は止まってしまうのか、調べてみました。

 

1.雨

20150218_125755雨による運行中止の基準については、小田急や東武など大手の私鉄の基準では、1時間に40ミリ以上、12時間で300ミリ以上になった時に、運転を見合わせているようです。大雨による危険でどのようなものがあるのでしょうか。例えば沿線の土手や山の斜面が崩壊し、土砂が線路内に流入、そこに列車が乗り上げて脱線するというものがあります。(平成24年東急田園都市線、平成21年京王線など)また、地下鉄に雨水が急激に流れ込み、線路が冠水して運行できなくなったというものもありました。最近の天気は「急速に発達した」低気圧などが、あっという間に大雨をもたらします。こういう対応が増えてくるのではないでしょうか。

 

2.雪

a1840_000024なぜ首都圏では雪でダイヤが乱れるのでしょう。北海道や北陸などの豪雪地帯では、大雪が降ってもほとんどダイヤも乱れずに通常通りの運行を続けているのにと思われる方も多いでしょう。大きな違いは、豪雪地帯ではもともと列車の運行本数が極めて少なく、1時間に1本程度のところばかりです。首都圏では通常、3分に1本のペースで走っているので、大雪でも通常通りの運転をすることに大きなリスクが伴います。大幅な間引き運転が、対策の手段といわざるを得ません。 また、雪によって起こるポイントの凍結に関しても、首都圏と豪雪地帯では大きな違いがあります。豪雪地帯では駅前後のわずかなポイントに、融雪装置を設置すれば問題ありませんが、首都圏の場合は実に約4000台もポイントがあるために、それぞれ対策を講じなければなりません。また、昨今、乗り入れ区間が増えたことで、複数の路線を跨って運行する路線も多く、ひとつのポイントの故障が影響を及ぼす範囲も広くなってしまいます。 たとえば北海道では、運行間隔が広いので、冬季はその間にラッセル車を走らせて除雪するなどの対策を行っています。もちろんポイントの融雪装置は最低限整備していますし、列車にも前方に積もった雪を排雪するスノ-プローという雪除けを車体の下に設置しています。 とはいえ、運行ダイヤが過密な首都圏では、もちろんラッセル車を走らせることは不可能です。全ポイントに融雪装置を取り付けたり、各車両にスノープローを取り付けるのも費用対効果を考えればなかなか難しい話です。よってもって、大雪ならば、首都圏では大幅な間引き運転・徐行運転にせざるを得ないのです。そうなると結果的に「遅れ」が生じるわけです。

 
3.風

DSC03529風による運行規制については、おおむね風速15~20メートル以上になると徐行運転を行い、風速が秒速20~30メートル以上になると運転を見合わせます。風による事故は、物が巻き上げられて架線にひかっかり、危険を感知して運転を見合わせるというものがあります。「架線に異物がひっかかった」という案内が流れることもしばしばしば、目にします。特にスーパー等のポリ袋が多いようです。また、田園地帯を走る路線だと、農業用のビニール類がひっかかるケースがあります。ご承知のように電車は架線から、パンタグラフで電気をひいて走ります。どのくらいの電気が流れているかと言うと、東京や大阪などの都市圏の通勤電車は主に直流1500V。東北地方や、北陸、九州などの交流区間は20000V。新幹線は25000V。住宅地の電柱を通っている電線は家庭用の電気は交流100 V なので、鉄道の電線は家庭の電気よりもかなり電圧は高く、トラブルも大きいのです。また、過去には強風にあおられて車体がひっくり返ったというものもありました。山陰本線の餘部鉄橋から回送列車が転落したという大事故もありましたね。

musashino話題は若干それますが、首都圏では「武蔵野線は風に弱い」という説があります。これは何故かというと、この路線が大半が高架であること、その高架壁が他の路線に比べると低いことも大きな理由です。長い鉄橋や、沿線に建物が少ない区間も多く、風の影響を受けやすいという点もあるようです。同じように高架区間が続く「つくばエキスプレス」などの新しい路線では、対策はしっかりとられています。たかが風、とあなどるなかれです。

 

筆者が経験したものの中で珍しいものでは、野生動物の侵入(2014年山形新幹線)や高波の影響(2012年東海道線)などがありました。他にも地震、落雷、洪水などまだまだ、理由はあります。いずれにしても、人間の力だけではなんともできない、自然の中で生きているのだなと、あらためて感じます。各鉄道会社とも安全への取り組み、さらなる輸送の安全への向上を目指していますが、利用者もマナーをしっかり守って、運行を支えていきたいものです。kaze

 

《広告》



 
《広告》