桜にはまだ早く、いま少し梅の季節が続く今日この頃だが、古来よりの『梅に鶯(ウグイス)』と云われる言葉に異を唱える説がある。それは、梅に飛来する鳥はメジロ(目白)が正しいというのである・・・。
季節感を表す言葉『梅に鶯』に関して、実際には梅の木には鶯はとまらず、それはメジロであるとする説がある。
現実の鶯はとても用心深くもっぱら薮の中で暮らしており、また主に虫や木の実などを食し花蜜を吸うことなどはめったにない。それに引き換えメジロは梅の花蜜に目がなく、早春には梅の花に集まってくる。また比較的警戒心が緩く、人間の前にも姿を表し易いとされている。
その為、本当は『梅にメジロ』が正しいのだ、と云うのである。
しかし、これは実態にのみフォーカスした誤った見方で、春を告げる言葉としての『梅に鶯』は、梅の花に鶯の鳴き声を添えた風情を表しており、取り合わせの良い(二つの)もの、よく似合って美しく調和する間柄の例えである。
つまり、実際に梅の木に鶯が集まってくることを表現しているとは限らないのだ。また同様な言葉に、『柳に燕』や『紅葉に鹿』、『牡丹に唐獅子』、そして『竹に虎』などがある。
『梅に鶯』は、日本人の理想の早春イメージを表現した言葉なのであり、現実の姿ではない。ちなみに、花札に描かれている(梅の木にとまっている)小鳥がメジロ説の根拠だという人がいるそうだが、その目は赤くて、誰が見てもメジロには見えないと思うが・・・。
-終-
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