売れないから販売を中止することはあっても、売れ過ぎだから製造を一旦止めるなんて、なんと贅沢な話だろう。
しかも、発売開始からわずか2日間で訪れた休止決定。そんなことが『レモンジーナ』に降りかかるなんて、これはまったくの悲劇かも知れない…。
サントリー食品インターナショナル株式会社(以下、サントリー)は昨日(1日)、果汁入り炭酸飲料『レモンジーナ』の販売を一時的に休止すると発表した。一瞬、エイプリルフールのネタ話かと思ったが、これは正真正銘の事実である。
『レモンジーナ』は3月31日に発売が開始されたが、予想をはるかに超える受注量を得て、あっと云う間に用意した在庫が出荷された模様。
サントリーによると、当初、本年(2015年)12月末までの販売計画を100万ケースとしていたが、1日までの出荷は125万ケースとなり、たった2日間で、年間の販売目標を上回る事態となったという。
同社では、この状況では製品の安定供給が困難であり市場に混乱を招くとして、生産体制が充分に整うまで出荷を休止することにした。また、自社の国内3工場と協力企業の工場で生産する計画だが、早急に生産体制を拡充したいとしている。
尚、『レモンジーナ』(1.2Lペットボトル 320円、420mlペットボトル 140円)は同社が販売している『オランジーナ』ブランドの新しいラインナップとして発売されたものであり、フランスの伝統的なレモンを使った飲料「シトロネード」を参考に、日本人の味覚にも合う様に独自のレモンピールエキスを開発し、レモンの皮に含まれている苦味成分を取り除いた結果、香り豊かな成分のみを抽出することに成功した製品。更に、レモン以外のグレープフルーツやオレンジなどもブレンドしている。
また『オランジーナ』は、1936年にフランスで誕生した果汁入り炭酸飲料の代表的な製品。日本国内では2012年から販売されている。そして『オランジーナ』の製造元である Orangina Schweppes Group(オランジーナ社)は現在、サントリーのグループ会社となっている。
「売れ過ぎてゴメンナサイ」と言われると、仕方がない気もするが、しかし発売後2日で大幅な販売方針の軌道修正を迫られるとは、基本的な商品企画、そして需要予測が杜撰と言わざるを得ない。
これは、単なる嬉しい悲鳴では済まされない重要なマーケティング活動の齟齬だ。同様な例が過去にもあると指摘されているサントリーは、今後、この点をきっちりと改善する必要があるだろう…。
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【追加情報】
サントリー食品インターナショナルは5月27日、生産が追いつかないとして出荷を一時休止していた果汁入り炭酸飲料の「レモンジーナ 420mlペットボトル」について、全地域で出荷を再開すると発表した。
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