《都市伝説を語ろう》 「アインシュタインの予言」は偽書だった!! 〈248JKI35〉

その後、中澤氏の発表に対して、戦前の雑誌『改造』(改造社)に掲載されていた文章が「アインシュタインの予言」の出典元であるという反論がネットを中心に起きた。

しかし、ここで出典元(ソース)だとされた雑誌『改造』に関して、1922年(大正11年)11月号、及び翌月の12月号『アインシュタイン特集号』から翌年の1923年(大正12年)12月号までをくまなく調べてみても、該当の文章は見当たらなかったとされる。

そして現在のところ、「アインシュタインの予言」が本当にアルベルト・アインシュタイン博士の発言を基にしたものだという証拠は、誰からも提示されていないのだ。

こうして中澤氏のこの論証が2005年(平成17年)に発表・提示されて以降、この予言は偽書の一種であると見做される傾向が極めて強い。

 

つまり「アインシュタインの予言」は、結局は都市伝説なのだ。 第二次世界大戦の敗北で全てに自信を喪失した戦後の日本人にとって、あの偉大なる知性、アインシュタイン博士が日本と日本人を特別な存在として応援し、大変褒めてくれる(ようにみえる)この文章が、自然と受け入れられていったことは当然なのかも知れないが、それは虚構であった・・・。

現実の世界は、宗教対立の激化や東西の冷戦が復活しつつあるとも云われ、そしてテロ活動の拡大が収まらない状況の中、未だに平和主義者であったアインシュタイン博士の理想からはほど遠いのだ!!

-終-

【参考】
因みに、こちらは本当の、もう一つの「アインシュタインの予言」について触れると、「第二次世界大戦では原子爆弾が兵器として利用されましたが、第三次世界大戦が起こったら、どのような兵器が使われると思いますか? 」というインタビューを受けたアインシュタインは「第三次世界大戦についてはわかりませんが、第四次大戦ならわかります。石と棍棒でしょう」と答えた。
これは「予言」というよりはむしろ、今後、仮に第三次世界大戦が起こったら人類文明は必ず崩壊するであろうという「警句」だったが。

【参考-2】
2007年(平成19年)の原田実氏の『トンデモ日本史の真相』(文芸社)では、「アインシュタインの予言」とほぼ同じ内容の文章が、1967年(昭和42年)刊行の大本教の教義解説書『大本のしおり』に、「スタイン博士の言葉」として掲載されていると指摘している。

【参考-3】
アインシュタイン博士の都市伝説的な発言には、他にも面白いものが伝えられている。それは「『複利』は人類史上最大の発見」であるとのものであり、またそこから派生した「72の法則はアインシュタインが発見した」という都市伝説もある。

 

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