私の世代(20代)はサッカーファンが圧倒的に多く、私もどちらかというとサッカーファンです。しかし祖父がラグビー選手だったり、両親もラグビー観賞が好きで、子供の頃はよく家族とともにラグビーの試合を見学した記憶があります。残念ながらラグビー人気は、近年では他の球技に比べてちょっと寂しい状況だなと思っていました。また父曰く、昔はテレビ中継でももっと多くのラグビー試合が放送されていたといいます・・・。
ところが、そんなラグビー界がここに来てぐんと盛り上がりを見せています。男女の7人制ラグビー「セブンズ」が来年(2016年)のブラジル・リオデジャネイロ五輪の正式種目に決まっており、また、2020年の東京五輪でも正式種目に選ばれているからです。更に15人制のラグビーでは、ラグビーワールドカップが、2019年に日本(全国12都市)で開催されます。
この様に男女ともにビッグマッチが控えていることで注目を集めているラグビーですが、本稿では、女子の7人制ラグビーの話題を中心にお話したいと思います。
昨今では女子の運動競技の中でも、サッカーではワールドカップで世界一になった「なでしこジャパン」が活躍していますし、バレーボールやソフトボールなどの球技は国際的にも以前より我国のお家芸とされており、その他の競技でも多くの女性アスリートの活躍を目にする機会が多くなっています。
しかしそんな中で、女子ラグビーは極めてマイナーな競技でしたが、日本における歴史は意外にも古く、1988年には日本女子ラグビーフットボール連盟が設立されました。
当初の加盟チームは15チーム(2010年の当該連盟の解散時は21チームが加盟)で、同年には東京の駒沢陸上競技場補助グラウンドで第1回女子ラグビー交流大会が開催されました。その後は細々ながらも連綿と活動は続き、2010年には、2016年のリオ五輪での(女子を含む)7人制ラグビーの競技選定を受けて(財)日本ラグビーフットボール協会(JRFU) 女子委員会(前述の日本女子ラグビーフットボール連盟が発展的に解消し女子委員会となる)が発足、女子ラグビーの知名度や競技力の向上と更なる普及拡大を担う活動を行うことになりました。
現在、女子ラグビーを取り巻く課題は多くあります。特に大きな問題点は2つで、競技人口の確保と練習や試合環境の整備についてです。
一つ目は、現状の日本における女子ラグビーの競技人口は2,300~2,400人と言われていますが、これはラグビー先進国であるニュージーランドの女子選手の約1万人と比べて1/4程度と少なく、強豪のイングランドやオーストラリアもニュージーランドに近い人数のようですから、日本の競技人口は格段に見劣りがする状況です。
また練習や試合環境の整備については、日本国内では練習場を確保することが困難な為に定期的な活動が実施出来ないチームもありました。また、男子の様な実業団チームもなく有力なスポンサー企業も見当たりませんし、全国規模の常設リーグも無い状態でした。
しかし、この様な課題を克服する為に多くの活動が行われてきた結果、最近では7人制を中心に急速に競技人口が増えつつあります。
以前は競技人口が少なかった為、結果としてその選手層が薄く、15人制と兼任の選手ばかりでしたが、五輪種目に選ばれてからは状況に変化が起きています。
サッカー、バスケットボールやハンドボール、そして陸上競技などの他の運動競技からの転向組が増え、そして2011年から小学校の体育の授業に「タグラグビー」が採用されたことでラグビーのルールや独特の楕円球に親しんだ若い世代が成長しており、高いモチベーションを持った選手たちによる切磋琢磨が競技レベルの向上に繋がっています。更にJRFUでは、2009年から開始した「セブンズアカデミー」で、ジュニア、ユース世代の将来有望な若年選手の開拓を実施しています。
最近では、企業のサポートを受けた「セブンズ」専門の『Rugirl-7』や『TKM7』、『カ・ラ・ダ ファクトリー A.P.パイレーツ』などのチームも創設され、昨年(2014年)からは国内サーキット大会『太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ』が開催されています。
各大学や高校にも「セブンズ」のチームが誕生するなど、女子7人制ラグビーを取り巻く育成環境は大いに好転しています。「花園(全国高校ラグビー)大会」の開会式後に女子7人制ラグビーの東西対抗戦が開催されたり、春・夏期には「セブンズ」の大会が実施されるなど着実に試合環境の整備も進んでいます。
また女子日本代表「サクラセブンズ(2013年に公募で名称を決定)」に関しても、2012年からは浅見敬子ヘッドコーチの下、定期的な合宿活動を行い、「セブンズ」独自の戦術やフィジカル、フィットネスの強化に努めてきました。
その結果、2014年2月の「セブンズ ワールドシリーズ」アメリカ大会ではベスト8進出を達成しました。続く、ブラジル大会でも再びベスト8入賞、7位決定戦で勝利して7位になりました。現在では中国とともに、アジアの強豪国の一角を占めています。
来年(2016年)の五輪では、日本代表の目標は男女ともにメダル獲得だそうです。競技人口の急増から、女子7人制ラグビーの代表メンバー、そしてレギュラー争いは激化しており、トータル戦力の大幅なアップが期待されています。この好況を、是非、開催地特典で出場権を得ている2020年の東京五輪まで継続したいところですね。
7人制ラグビー公式サイト → http://sevens.rugby-japan.jp/
さて、7人制ラグビーの魅力は、コンパクトな試合時間の設定と、フィールドを大きく使ったスピーディな競技展開にあるといわれています。広いフィールドを少ない人数でカバーするため、ボールが大きく動き、スピードとアジリティ、ハンドリングスキルが勝利の鍵と言われます。その為、体格に劣り小柄ですが走力に優れた日本人には向いているとされています。
そこで7人制ラグビーのルールを簡単に説明しておくと、試合時間は7分ハーフの計14分以内(ハーフタイムは1分以内)で行われます。大会の決勝戦は10分ハーフ(合計20分以内)で、同点の場合は延長戦が行われます。プレーヤーの人数は両チームともに7名。リザーブ選手は5名で、1試合に3名までの交代が認められています。フィールドの広さと基本的ルールは、グラウンドは15人制ラグビーと同じで、「スローフォワード」や「ノックオン」 「オフサイド」「危険なプレーの禁止」など、通常のラグビーにおける代表的なルールも15人制と同じです。
私は運動音痴なので、とてもとても自らが体験することは難しいので、専ら観客としての立場ですが、日本女子の大活躍を期待し熱烈応援しています!! (掲載の写真は記事の内容には関係ありません)
-終-
【参考】
五輪種目採用の理由としてIOCは、7人制は15人制よりも開催の期日や試合時間が短いためテレビ放送に親和性が高く、また男女ともに参加が出来る上に、ニュージーランドやフィジー、サモア、ケニアなど多くの国にメダル獲得の可能性があることなどを評価したそうです。
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