こんなところにレールシリーズが帰ってきました。今回は、京浜東北線の王子駅から飛鳥山を結ぶ人道橋を取りあげます。竣工から90年を迎えた歴史ある橋を渡ってみました。
京浜東北線は大宮方面の電車で、最後尾に乗るとよいと思います。電車が王子駅に近づくと、進行方向左手に飛鳥山のこんもりした緑が見えてきます。そこに向かってクリーム色の橋がかかっています。
降りてすぐのホームの階段を下ると、公園口の改札があり、右に進むと跨線橋の階段に出ます。目黒の遠すぎた橋とは大違いです。橋桁もアーチもレールで構成され、滑らかな曲線の構成が実に美しい。しかもこの橋は、フェンスで囲まれているものの、下から見上げて観察出来る点も魅力的。
橋の基礎部分も側面もレールがしっかり目につきます。この橋は「飛鳥山下跨線人道橋」といって、1925年(大正14年)に竣工しました。今年はちょうど90周年です。前回の白金桟道橋と共に、日本でも貴重なレールで出来た橋です。ちなみにこの橋は、王子駅の設備の一部という扱いで、JR東日本の管理下にあるそうです。橋の下は東北本線、高崎線、そして貨物線が通ります。昔から鉄道撮影の名所で、橋から見下ろした数々の鉄道写真が撮られました。今は、フェンスが厳重(しかも目が細かい)で、気軽に撮影するには結構厳しそうです。橋の長さは41メートル。飛鳥山に繋がっています。飛鳥山も東京の名所旧跡の一つです。江戸時代から桜の名所、庶民の行楽地としてにぎわった場所でもあります。
橋を渡り切ると線路際に降りられ、橋の真下にも行くことが出来ます。古いレールと一部は他の鋼材で構成された桁の部分も見事です。橋脚部のレールには1887年ドイツ製のものも使われているそうです。ただ、飛鳥山から見上げると、橋の背後に高層マンションが控えていて、今一つ。やはり山に向かって見た方が良い感じです。
90年の歴史ある貴重な橋。多くの列車や人を見続けてきた橋。東北本線や高崎線の沢山の鉄道車両も見てきたことでしょう。蒸気機関車、特急電車、急行電車、寝台列車、通勤電車、貨物列車・・・。歴史と鉄道にロマンを感じる方は、一度は訪れてほしいスポットです。
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