飯田線のスカ色の車両。旧型国電が主力だった時代の辰野駅でのショット。車両は荷物・郵便の合造車である「クハユニ56011」
この車両は、戦時中の昭和18年、横須賀線用のモハユニ61001~003として作られたもののです。昭和27年に、セミクロス化、トイレの取付けを行い、正式にクハユニとなり、飯田線に転属しました。昭和58年に廃車になっています。
電車に郵便や、荷物を積み込む様子。飯田線では1983年頃まで、こうした光景が見られました。
飯田線は路線総延長195.7 km、愛知県、静岡県、長野県に跨る険しい山岳地帯を貫く、都市農山村を結ぶ路線。起点の豊橋駅から終点の辰野駅を経て長野県の上諏訪駅まで各駅停車で直通する列車もあり、豊橋駅から辰野駅までは約6時間かかる、偉大なるローカル線。最近では、小和田駅や田本駅などのいわゆる「秘境駅」の存在から、鉄道ファンや旅行者に人気のある路線です。
撮影当時、旧型国電もあちこちで姿を消しつつある時代でしたが、飯田線では荷物や郵便との合造車が現役で活躍している点は注目でした。鉄道は決して、人を載せるためだけのものではないこと、郵便や新聞など生活に密着した荷物を、山間に暮らす人々と共に運んでいることに興味津津でした。新型車両にはない、生活路線としての「ぬくもり」や「逞しさ」を感じながらシャッターを切りました。
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