以下に『鬼平犯科帳』(中村吉右衛門版) テレビ番組シリーズ 第7シリーズ キャスティング・リストを掲載するが、現状は《暫定版》であり、都度、加筆・修正の予定である。また各話のあらすじやその他の諸データは番組公式HPで確認願いたい。
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★ 各欄コメントには、物語の結末や、所謂(いわゆる)ネタバレ的な内容が含まれているので、視聴前や未読の場合は要注意。
第7シリーズ(1996年8月21日 – 1996年9月4日、1997年4月16日 – 1997年7月16日、フジテレビ系 水曜20時台時代劇枠)
●第1話「麻布ねずみ坂」(1996年8月21日)(視聴率12.2%)
・中村宗仙 – 芦屋雁之助 ・石島精之進 – 中原丈雄 ・お八重 – 速水典子
・川谷の庄吉 – 螢雪次朗 ・お絹 – 仰樹枝里
※原作では(嫁や娘の病気で生活苦に喘いでいる)同心・山田市太郎が活躍するが、このテレビドラマではその役は沢田小平次に変更されている。中村宗仙役は前回の第4シリーズ第12話「埋蔵金千両」(1993年3月17日放送)の大前均ではなく、芦屋雁之助が演じている。また原作とは異なり、石島精之進を誘き寄せて平蔵が斬り捨てる形となっている。
※中村宗仙・・・指圧に長けている医師。荒稼ぎで金を貯めこんでいると噂だが、京都で上方の香具師の元締め・白子の菊右衛門の妾・お八重 に手をつけてしまい、脅されて多額の金を送っていた。しかし集金係として江戸に派遣されていた石島精之進がその金を着服しており、菊右衛門から命を狙われることになる。ちなみに「埋蔵金千両」の時は、瀕死の盗賊・小金井の万五郎を恢復させるほどの腕前を見せたが、当の万五郎は隠し金を奪われたことによりショックで死亡した。
※尚、本作では田中弘史が演じている白子の菊右衛門に関しては、第1シリーズ第12話「兇剣」(スペシャル)(1989年10月11日放送)の項を参照のこと。
●第2話「男のまごころ」(原作:『鈍牛』)(1996年8月28日)(視聴率14.4%)
・亀吉 – 小倉久寛 ・田中貞四郎 – 片岡弘貴 ・源助 – 大杉漣
・無宿者・安兵衛 – 小鹿番 ・沢田筑後守 – 西山辰夫
※今回は平蔵が部下(田中貞四郎)が起こした誤認逮捕を改め、職を賭して冤罪を晴らす物語。原作の亀吉は、体つきは小太りで中年男の様だが、顔は25歳の男とは思えぬ童顔という設定である。また、亀吉の生まれや彼が柏屋に奉公することになった経緯も描かれている。そして、小房の粂八からの(亀吉は冤罪かも知れないという)情報を平蔵に伝えるのも、原作では木村忠吾ではなく酒井祐助である。
※亀吉役は小倉久寛、まさしく彼にはハマリ役だろう。鈍重だが純真・無垢で真面目な、人のいい人物を好演。
※この様な題材を扱うのは、現在では余程慎重でないと難しいだろうが、池波の筆致は亀吉や柏屋の人々等には優しく、冤罪を創り出した源助と田中貞四郎には大層厳しいのだ・・・。
●第3話「妖盗葵小僧」(1996年9月4日)(視聴率14.3%)
・葵小僧芳之助 – 島木譲二 ・京屋善太郎 – 山本宣 ・お千代 – 岩本千春
・小四郎 – 市山登
※原作では、葵小僧芳之助の過去が詳しく述べられている。彼は役者(桐野谷紋十郎)の子として尾張で生まれて初めは人気者の子役だったが、成長するにつれてその低い鼻が災いして良い役もつかず人気も落ち目となる。そして21歳の初夏、自分を騙しただました茶汲女を殺害して逃亡、以後は盗賊に成り下がった。また女性への過度の不信感から、押し込み先で女性への暴行を重ねる様になる。更に原作では、押し込みの際に声色を使って戸を開けさせる役割は芳之助の配下の小四郎(貸本屋の亀吉)の仕事である。
※テレビでは、葵小僧に辱められた京屋善太郎の妻・お千代は自殺を図ろうとし、火付盗賊改方同心・木村忠吾と密偵のおまさ(梶芽衣子)がそれを助けるが、原作では平蔵がひとりで彼女を思い止めさせる。がしかし、後にお千代は亭主の善太郎により無理心中してしまう。
※原作では、なかなか捕まらない葵小僧に業を煮やした幕閣が、以前に2度も火盗の経験のある先手組・桑原主膳を加役として火盗改方に任命する。
※葵小僧一味は、神田筋違御門外の料亭「高砂屋」へも押し入る。陵辱されたのは、主・利兵衛の女房のおきさだったが、彼女の実家は亀戸天神前の料理屋「玉屋」であった。そしてこの時、「玉屋」の料理人・吉太郎の声色を騙って侵入している。更に、この話が第6シリーズ第1話「蛇苺の女」(スペシャル)(1995年7月19日放送)へと続くが、原作『蛇苺』でもその関係性は同じである。
※葵小僧芳之助・・・盗みよりも女を犯すことに熱心な盗賊。モデルは実際に平蔵が捕らえ、処刑した葵小僧である。
※史実の葵小僧は、生年不詳で寛政3年5月3日(1791年6月4日)に処刑された江戸時代の盗賊である。別名、大松五郎(だいまつごろう)。
Wikipedia日本語版によると「寛政3年(1791年)の頃、徳川家の家紋である葵の御紋をつけた提灯を掲げて商家に押込強盗を行い、押込先の婦女を必ず強姦するという凶悪な手口をもって江戸中を荒らしまわったが、火付盗賊改方の長谷川宣以(平蔵)により板橋で捕らえられた。普通の取調べなら被害者からも供述を取って処断するところであるが、強姦された被害者の苦痛を慮り、平蔵と老中の専断により捕縛後10日ほどで獄門にかけられた。」とある。
※この回で葵小僧芳之助を演じた島木譲二(お笑い芸人で元プロボクサー)は、昨年(2016年)12月16日に亡くなった。
※ちなみに池波正太郎は、1964年1月6日号の『週刊新潮』に『江戸怪盗記』のタイトルで、“鬼平”シリーズに先駆けて葵小僧の事件を題材にした短編小説を発表している。これは長谷川平蔵が池波作品に初めて登場した作品でもあり、短編集『にっぽん怪盗伝』に収められている。
●第4話「木の実鳥の宗八」(原作:『春雪』)(1997年4月16日)(視聴率16.0%)
・宗八 – 大木実 ・おきね – 山口美也子 ・大塚清兵衛 – 本城丸裕
・川辺軍兵衛 – 谷口高史 ・霞の定五郎 – 渡辺哲 ・宮口伊織 – 高橋長英
※原作は、『春雪』という題名である。原作で冒頭に宮口伊織が掏摸の被害に遭うのを目撃するのは、平蔵と小房の粂八であり、木村忠吾はこの場にはいない。
※原作には、掏摸の掟・三ヵ条(貧乏人からは掏らない、刃物などを使う汚い業は仕掛けない、どんなに金が入っても地道に暮らさねばならない)も登場する。また木の実鳥の宗八の掏摸の師匠・霞の定五郎は第1シリーズ第17話「女掏摸お富」(1989年12月6日放送)での、お富の養父であり、原作の『春雪』では既に死んでいる設定となっている。
※テレビ番組では、珍しくおまさが黒装束に身を包み、盗賊が目をつけている「伊勢屋」に忍び込みその家の間取りを確認するという姿が披露されている。
※宗八役の大木実も、2009年3月30日に亡くなった。
※宮口伊織を演じた高橋長英は、第2シリーズのスペシャル「殿さま栄五郎」(1990年4月4日放送)では長沼の房吉、第3シリーズ第5話「熊五郎の顔」(1992年1月22日放送)では信太郎・洲走の熊五郎、第4シリーズ第5話「深川・千鳥橋」(1993年1月20日放送)においては万三役、第9シリーズ第2話「一寸の虫」(2001年4月24日放送)では鹿谷の伴助を演じている。
※木の実鳥とは、猿の異称である。猿は枝から枝へと木の実を啄んで、まるで鳥の様に身軽な姿から猿を木の実鳥と言うらしい。
●第5話「礼金二百両」(1997年4月23日)(視聴率13.6%)
・横田大学 – 磯部勉 ・横田芳乃 – 小畠絹子 ・山中伊助 – 河原崎建三
・谷善左衛門 – 多々良純 ・千代太郎 – 藤山扇治郎 ・又太郎 – 小林宏史
※原作には、平蔵が悪夢にうなされたり、久栄が大切な櫛と笄を質入れする逸話はない。また、テレビドラマの与力・小林金弥の役どころは、原作では筆頭与力の佐嶋忠介である。
※非公式とは云え、本来は役目柄、謝礼金など受け取れない。だが敢えて与力・小林金弥の目の前で平蔵は頭を下げて二百両を受け取った・・・。テレビでは久栄の大切な嫁入り道具の櫛と笄も戻って、目出度し目出度しなのだった。更に平蔵が小林と食事をする際に、「これは女房自慢の煮物だ。女房選ぶなら煮物のうまい女を選べと言うが、こりゃ本当だな」と語るところが好い。
●第6話「殺しの波紋」(1997年4月30日)(視聴率13.8%)
・富田達五郎 – 萩原流行 ・犬神の竹松 – 河原さぶ ・お吉 – 大藤三莱
・多加 – 志乃原良子 ・幸 – 藤井真理
※ドラマと原作にそれ程大きな違いは無いが、原作では、富田の悩みと苛立ちは娘・幸(さち)の大病に加え、同心・木村忠吾との不仲が原因。また富田達五郎の尾行には、『穴』事件の後に平蔵に協力することになった扇屋・平野屋源助の番頭の茂兵衛が活躍する。番組の最後で、呼び止められた富田達五郎が切りかかってきたので、仕方なく彼を斬った後に平蔵は、「富田は与力として抜群の働きをしてくれた。富田は養子だ。娘の婿養子の話を壊さないようにな」と配下の者には語るところはテレビの独自のシーンである。
●第7話「五月雨坊主」(1997年5月14日)(視聴率14.5%)
・およね – 池波志乃 ・石田竹仙、天徳寺・善達、羽黒の久兵衝 – 上田耕一 ※一人三役
・長五郎 – 和崎俊哉 ・お栄 – 奈良富士子
※原作は、平蔵へ会いに大滝の五郎蔵に伴われて役宅へ石田竹仙が現れるところから始まる。つまりテレビ番組の冒頭の様な、伊左次が登場する場面はない。ましてや原作ではお栄はまったく登場しないので、お栄が捕縛されて、長五郎、荷頃の半七との関係などを語る場面はテレビだけのオリジナル脚本である。但し、伊佐次の馴染みの提灯店「みよしや」の女郎・およねとお今(田辺ひとみ)が、竹仙が描いた人相書きを見て、髭をつけると、谷中の寺の坊主・善達にそっくりだと証言するところは原作に同じ。
※平蔵に丸坊主にされて泣きべそを噛む忠吾だが、天徳寺へ送り込まれて九死に一生を得る。
※石田竹仙を上田耕一がひとり三役として演じているが、第5シリーズ第9話の「盗賊人相書」(1994年6月15日放送)に登場した本物の石田竹仙役の柄本明と、どことなくこの人は似ていて適役だったとの評が多い。
※伊左次の馴染みの女郎・およね役の池波志乃が、生き生きとした可愛い女を好演。ちなみに彼女は第1シリーズ第22話「金太郎そば」(原作:『にっぽん怪盗伝』)(1990年1月24日放送)でお竹を演じている。ちなみにテレビドラマでは描かれていないが、原作にはおよねが伊三次に『私は勢州・関の生まれで・・・』と語る場面があり、関は捨て子だった伊三次が宿場女郎衆に10歳まで育てられた土地で、実はおよねは伊三次がいちばん世話になった女郎の娘だったという秘話が綴られている。
●第8話「泣き味噌屋」(1997年5月28日)(視聴率14.4%)
・川村弥助 – 平田満 ・さと – 北原佐和子 ・秋元左近 – 亀石征一郎
・和田木曽太郎 – 伊藤高
※和田木曽太郎と芝崎忠助(和田の門人)の足取りを掴んでくるのは、原作では御用聞き・鮫ケ橋の富七の配下の下っ引きの庄太だが、ドラマでは小房の粂八となっている。また出役時には、川村弥助と同じように妻を亡くした過去を持つ小柳安五郎が加わるが、原作では川村の妻・さとの捜索時から、進んで携わっている。
※川村弥助を演じた平田満の容姿とは異なり、原作の川村弥助は27歳で6尺近い堂々たる背丈、大きな太鼓腹で後姿はどう見ても相撲取りである。だが彼は極端に臆病な性格で、それ故に“泣き味噌屋”という綽名を木村忠吾に付けられてしまう。
※原作での、平蔵の剣捌きがカッコいい。「・・・柴崎の刃風を下にながしつつ、飛び下りた平蔵が腰をひねりざま、亡き父ゆずりの粟田口国綱二尺九寸の愛刀、ぬく手も見せぬ電光の一撃・・・」吉右衛門も、こうしたキレのある殺陣が出来なくなって“鬼平”シリーズに幕を閉じたのに相違ない。
●第9話「寒月六間堀」(1997年6月4日)(視聴率15.3%)
・市口瀬兵衛 – 中村又五郎 ・おとせ – 中村久美 ・山下藤四郎 – 潮哲也
※原作には、おとせ(中村久美)は登場しない。その為、市口瀬兵衛の息子・伊織の嫁となる予定だった彼女と山下藤四郎の、その後の複雑な因縁話は全く出てこないのだ。伊織が討たれた理由も、婚礼の前におとせに言い寄った山下藤四郎と果し合いをして破れたことになっているが、原作では藤四郎は男色家であり、妻子ある身でありながら伊織に言い寄り、伊織の結婚が決まると嫉妬のあまり命を奪ったのだった。また原作には相模の彦十は出てこないが、代わりに「笹や」のお熊が登場、そして瀬兵衛の仇討ちを助ける平蔵の手下となって“逆でこ”の仙次郎と弟分の板前・弥吉が活躍する。
※当然ながら、番組の終盤で巴屋の女将・おとせと平蔵と短く交わす会話も、原作にはない。
●第10話「見張りの糸」(1997年6月11日)(視聴率15.2%)
・和泉屋東兵衛 – 奥村公延 ・おきく – 一色彩子 ・戸田銀次郎 – 遠藤征慈
・稲荷の金太郎 – 片桐竜次
※原作では、和泉屋東兵衛の名前は忠兵衛である。そして和泉屋の正体に最初に気づくのは、井関録之助(録之助は登場しない)ではなく祝言直後の木村忠吾の亡き許嫁の父親である(出張でたまたま江戸に来ていた)京都西町奉行所与力・浦部彦太郎であり、また今回の事件で中心的な役割を果たす悪女・おきくも原作には登場しない。そして稲荷の金太郎と戸田銀次郎は別個の盗みを企図しており、堂ヶ原の忠兵衛は、おきくではなく戸田銀次郎の兄の仇との設定。
※和泉屋忠兵衛(東兵衛)・・・引退した盗賊の頭で、堂ヶ原の忠兵衛というのが本名で70歳近い老人。また和泉屋の者は忠兵衛を始めとして全て元盗賊である。
※この回は、スペシャル『見張りの糸』(2013年5月31日放送)でリメイクされた。
●第11話「毒」(1997年6月18日)(視聴率14.6%)
・山口天竜 – 佐川満男 ・伊太郎 – 有薗芳記 ・万右衛門 – 津村鷹志
※ドラマでは、山口天竜は町医者になれずに陰陽師になったという設定だが、原作では陰陽師になる前は一人前の町医者であった。
※掏摸の伊太郎役の有薗芳記の演技が好ましい。始めは威勢がいいが、平蔵に捕まるや恐れおののく小心者だ。平蔵の命で連れ出されても、ひたすらびくびくとしている。まさしく、原作の伊太郎通りである。
※山口天竜・・・もと町医者の陰陽師。肥前・長崎の生まれで、京都で蝋燭問屋「能登屋」の内儀と密通し、その際に手代を殺害して京都から逃れて諸方を流浪した後に江戸に流れ着いた。江戸に来る前は山口伯堂と名乗っていたが、本名は山口由之助である。
※原作の最後には、事件の後、赦されて役宅の小者となった掏摸の伊太郎が、平蔵の死に際して世をはかなんで自殺を図るが死に切れず、以降、平蔵夫妻の墓守りをして一生を終えた、と書かれている。
※ちなみに、ドラマのラストで登場する卵酒の作り方は、原作で詳しく解説されている。「小鍋に卵を割りこみ、酒と少量の砂糖を加え、ゆるゆるとかきまぜ、熱くなったところで椀へもり、これに生姜の搾り汁を落す」これが平蔵好みの卵酒であった・・・。
●第12話「あいびき」(原作は『あいびき』で短編集『おせん』所蔵)(1997年6月25日)(視聴率12.3%)
・お徳 – 左時枝 ・仁兵衝 – 三遊亭金馬 ・朋斉 – 竹本孝之 ・文吉 – 櫻木健一
※短編集『おせん』に収録されている『あいびき』が原作だが、そこでは裕福な菓子舗の女房・お徳と浮気相手の僧・覚順(ドラマでは朋斉)の力関係は逆であり、お徳の方が逢引きの日時を指定するなど積極的。やがて、お徳と覚順の不倫を知ることになった井筒屋の文吉に彼女は脅されるのだった。この作品は“鬼平”シリーズではないので、本来は平蔵も盗人なども登場しない。また各種設定も、“鬼平”シリーズに合わせて変更となっている。
●第13話「二人女房」(1997年7月2日)(視聴率12.6%)
・高木軍兵衛 – ジョニー大倉 ・お増 – 伊佐山ひろ子 ・彦島の仙右衛門 – 中野誠也
・佐吉 – 石田登星
※味噌問屋「佐野倉」の用心棒・高木軍兵衛の後日談だが、原作とは細かな点が幾つか異なる。加賀屋の佐吉との再会場面や軍兵衛が殺しの依頼を受ける流れ、平蔵ら火盗の面々との連携の取り方など。また原作では、軍兵衛と弥勒寺門前の茶店「笹や」のお熊は昔なじみという設定だった。
※加賀屋佐吉・・・彦島の仙右衛門の嘗役。仙右衛門の女房・お増の悋気に乗じて仙右衛門を殺害して一味を乗っ取ろうと画策するが平蔵に阻まれ、最後は火盗の役宅で仙右衛門に懲らしめられる。
※彦島の仙右衛門・・・上方を根城とする盗賊の頭。どこかその性格はのんびりとしているが、女房のお増の眼を盗んで江戸に妾のおときを囲っていた。佐吉に暗殺を依頼された軍兵衛に殺されたと見えたが、実は火盗に捕えられたのだった。但し、その末路は佐吉共々処刑となる。
※第1シリーズの第23話「用心棒」の時よりも高杉道場での稽古のおかげで幾分かは剣術の腕も上達したようだが、相変わらず気が弱く人の好い高木軍兵衛である。しかし相変わらず彼の存在そのものが、周囲に暖かい雰囲気を振りまいている。
●第14話「逃げた妻」(1997年7月9日)(視聴率16.4%)
・藤田彦七 – うじきつよし ・おみね – 佐藤恵利 ・おりつ – 江口由起
・お千代 – 石井トミコ ・宗六 – 園田裕久 ・燕小僧 – 赤星昇一郎
※原作では、浪人・藤田彦七と忠吾の行きつけは居酒屋「治郎八」で、この店は『一本眉』にも本格派の盗賊・清洲の甚五郎の盗人宿として登場する。また、平蔵に目をかけられ忠吾の嫉妬を買うのは(テレビでは中村吉之助が演じる三井忠次郎だが)原作では細川峯太郎である。
※燕小僧こと入間の又吉・・・軽業師出身の盗賊。以前にも平蔵に追い詰められたが、持ち前の身軽さで逃げおおせたが、今回は捕まり処刑された。
●第15話「見張りの見張り」(1997年7月16日)(視聴率16.2%)
・長久保の佐助 – 本田博太郎 ・お六 – 清水ひとみ ・杉谷の虎吉 – 金子研三
※原作では、長久保の佐助が最初に出会うのはおまさではなく舟形の宗平である。またテレビでの小房の粂八の役回りは、本来は大滝の五郎蔵のポジションで佐助の子の仇である杉谷の虎吉は、かつて五郎蔵の配下であった。またこのテレビ番組では、南品川で佐助を見かけるのは相模の彦十だが、原作では伊左次の役。その後、伊左次が佐助をつけるが、テレビでは木村同心がこの役を引き受けている。更に原作では、杉谷の虎吉の捕縛は五郎蔵がひとりで行い、ラスト近くの白州の場面で虎吉は佐助に向かって、佐助の息子・佐太郎を殺したのは自分ではなく、橋本の万造であると告げる。
※長久保の佐助役の本田博太郎は、この吉右衛門版“鬼平”シリーズの常連役者で色々な配役に就いている。
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