我が音楽趣味とオーディオ遍歴 “第1.5世代/Season-1.5” 〈759JKI07〉

人気者ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)のリーダー作ならば『4,5,6』や『ジャッキーズ・パル(JACKIE’S PAL)』が秀作で推薦出来るレコードだが、当時は彼も模倣したい対象ではなくて(音色に艶が無く乾いている感じがする時がたまにあるのが残念)、キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)については、そのワンパターンのファンキー路線の評価はともかく、演奏自体(楽器のコントロールや鳴らし方)は凄く巧いと感じていた。

Sonny Stitt『Sonny Stitt with Bud Powell and J.J. Johnson』

また例えば、ソニー・スティット(Sonny Stitt)も人気のアルト奏者だが、筆者はテナーを吹いている時の彼の方が気に入っていた。例えば『ソニー・スティット・ウィズ・パウエル・アンド・J.J.(Sonny Stitt with Bud Powell and J.J. Johnson)』やジーン・アモンズ(Gene Ammons)とのバトルを収録した『ウーフィン&トゥイーティン(Gene Ammons:All Star Sessions)』や『ボス・テナーズ(Boss Tenors)』なんかの演奏である。

それから他のアルト奏者で記憶に残っているのは、パーカースクールの東の横綱が上記のソニー・スティットだとすれば、西の横綱は同じソニーでもクリス(Sonny Criss)だった。R&B色が強いがルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)も忘れ難いアルト奏者。テナーのベニー・ゴルソンと同様に編曲者としての評価が高いのがジジ・グライス(Gigi Gryce)。白人アルト・プレーヤーのハル・マクシック(Hal Mckusick)は、パーカーとコニッツを足して二で割った様なスタイルで知的なミュージシャン。

Paul Desmond『Take Ten』

そしてポール・デスモンド(Paul Desmond)を忘れてはいけない。デイブ・ブルーベック・カルテット(David Brubeck Quartet)のアルト奏者として有名な彼は、やはり最大のヒット曲〈テイク・ファイブ(Take Five)〉で知られるが、筆者も当然の様にこの曲を演奏したことがあるが、変拍子は難しく、なかなかスムーズにリズムに乗り切れないものと思い知らされた。また意外かもしれないが、この人のアドリブは凄い。その淀みなく湧き出る即興の旋律は美しく、白人らしい構成美を有しながらもインプロヴィゼイションの醍醐味も感じさせるものだった…。ブルーベックから離れたリーダー作ではギタリストのジム・ホール(Jim Hall)と組んだ『テイク・テン(Take Ten)』が傑作である。

 

そんな訳で演奏体験を踏まえてみると、とてもその演奏が(初心者には)参考になりそうもない? エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)やオーネット・コールマン(Ornette Coleman)、そして今更ながらの御大・チャーリー・パーカーらは代表作を聴くに止めていたが、演奏者としての限界はすぐにやって来たから、改めて鑑賞者として彼らのレコードを次々に購入してはジャズの“勉強”に一層励むことになるのは、もうほんの少し後の話であった。

 

懐かしい丸井の『赤いカード』

ちなみにまったくの余談だが、上記のサックスを購入したのは楽器専門店ではなく、近所の“丸井(マルイ/〇l〇l)”(首都圏を中心にファッションビルなどの商業施設を展開する小売業でルーツは月賦百貨店)であったが、このマルイを地方出身者の大学同級生が皆知らなかったことに驚いたものだ。しかし逆にこれは筆者の井の中の蛙ぶりを示す好例であり、「マルイ、マルイは駅のそば!」とTV・CMで連呼していた当時、首都圏の主要ターミナルには必ず当該の店舗が出店していたので、このチェーン店は全国展開を既に終えていると勘違いしていた…。

それはさておき、入学早々に(無収入の学生でもクレジット購入が可能であった)“丸井”で分割購入したのは、後から(アルバイトなどで)働いて稼いで月々返済すればよいという安易な考えに基づいた、すなわち衝動買いに近い無謀な行動でもあったのだ…。これは、月々〇○円の支払いでこんなに高いものが簡単に手に入るという、あの“魔の手”に易々を乗っかってしまったとも云えるのだった(笑)。

 

さて音楽の話に戻すと、この頃、全般的にジャズ好きの度合いが高いとは云え、聞く方はジャズ系の音楽だけではなく洋楽系のポップス全般を好みの対象としていた様にも思えるし、その点ではラジオ(FM)で聴く音楽番組に関しても、『クロスオーバー・イレブン』や『サウンド・オブ・ポップス』、そしてスタッフの『いとしの貴方』がテーマ・ソングだった『軽音楽をあなたに』等、幅広い音楽番組をチョイスしていたが、未だに単体ラジオを利用していた筆者は、いよいよ、どうしてもエア・チェック用にチューナーとカセットデッキが必要だと痛感しており、多少、懐具合が改善される目途が立ってきた大学1年生も中盤以降に差し掛かった頃には、具体的な購入の検討を開始の末、先ずはカセットデッキに日立(Lo-D)の D-90s ¥79,800円(1979年発売)を購入したのだった。

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