“CIA”とか“FBI”とかはテレビ・映画や小説などでよく耳にする言葉だが、現実に存在するアメリカ合衆国の情報/諜報活動や広域捜査活動を担っている行政組織で、絶大な権力を持つ強大な組織であるとされている。
そんな“FBI ”の長官がつい最近いきなりトランプ大統領に解任(大統領による解任は史上2度目らしい)されたが…もしかすると「おまえはクビだ!(You’re fired!)
ところでアメリカ合衆国には、この他にも色々な情報・捜査/法執行機関が多数あり、この記事ではそれらの中から主要なものを簡単に紹介しようと思うが、しかしこんなに多くの組織が並行して活動していてよくゴチャゴチャにならないなぁ…。きっと間違いなく縄張り争いは熾烈なんだろうけれど。
【アメリカ合衆国連邦政府の情報機関】
独立系の組織
中央情報局(Central Intelligence Agency、略称:CIA)は、国家安全保障会議の直轄機関でアメリカ合衆国々外で同国の国益を守るためのスパイ/工作員等の人的要因(ヒューマン・ファクター)による諜報活動(ヒューミント 、HUMINT = human intelligence )を実施する情報組織で、フィクション・エンターテインメントの小説やテレビ・映画作品などの舞台としても頻繁に登場する、世界的にも有名な諜報機関の代名詞だ。
CIAは中央情報局長官(Director of the Central Intelligence Agency、略称:DCIA) によって統括され、アメリカ合衆国大統領直属の監督下にある。以前は、CIAの長官は中央情報長官(Director of Central Intelligence、略称:DCI) として他の主要な情報/諜報機関をも統括していたが、現在、その職務は国家情報長官(後述)に引き継がれている。
CIAの諜報活動を実行する為には膨大な予算が与えられているとされるが、その使途等の詳細な情報は公開されていない。また最近では他の情報/諜報機関におされて地位・立場の沈下が著しいともされているが、それでも尚、未だに職員数は約2万人と大規模のようだ。本部の所在地は、ヴァージニア州ラングレー(CIAの別名)とされるが厳密には同州のマクレーンにある。
国防総省管轄の組織
・国家安全保障局(NSA)並びに各軍の情報部
国家安全保障局(National Security Agency、略称:NSA)は、アメリカ国防総省傘下の諜報機関。1949年5月20日に軍保安局(Armed Forces Security Agency、略称:AFSA)として設立された。公式には対外的な情報通信の収集と分析が主任務だとされているが、存在が長年秘匿とされていた経緯などから、未だにその実態には不明な点も多いとされている。
中央情報局 (CIA) が主にヒューミント(HUMINT)と呼ばれる活動を担当するのに対して、NSAが行う諜報活動(シギント 、SIGINT = signal intelligence)は電子機器などを使った通信傍受や情報収集活動とその集積や分析を担当していると云われている。
この組織のトップはNSA長官だが、同長官はアメリカ陸軍情報保全コマンド(United States Army Intelligence and Security Command、略称:INSCOM)、アメリカ海軍情報部(Office of Naval Intelligence、略称:ONI)、海兵隊情報部(Marine Corps Intelligence Activity、略称:MCIA)、空軍情報局(Air Intelligence Agency、略称:AIA)を改編した空軍情報・監視・偵察局(Air Force Intelligence, Surveillance and Reconnaissance Agency、略称:AFISR)などへの監督権と持ち、これらの組織は国防総省のもとでNSAを中心に一体となって共同作戦を展開している。またNSAの職員数は約3万人とされ、年間の予算は約百億ドルを超え、世界中に80ヶ所あまりの拠点があるとされている。
ちなみに、インターネット生みの親である史上最強の盗聴装置で通信ネットワーク巨大監視システム“エシュロン(Echelon)”を保有しているのが、この組織である。
国家偵察局(National Reconnaissance Office、略称:NRO)は、アメリカ合衆国国防総省内の諜報機関のこと。名目上は空軍長官直轄の独立した組織であり、またNROの長官は国防総省の宇宙担当次官補が兼務する職務とされているが、現実にはCIAやNSAとの連携も強い部署とされている。
このNROは、1960年8月25日にホワイトハウスやCIA、国防総省、空軍などの協議により設立されており、偵察衛星システムの設計・開発から実際の打ち上げや回収などの総合運用を行う組織だが、宇宙における偵察衛星等の管理に加えて高高度飛行が可能な戦略偵察機(最近では無人の遠隔操縦機を含む)を活用した情報収集と分析もその任務のようだ。
ちなみに航空宇宙関係の情報分析機関ではこの他に、国家航空宇宙情報センター (National Space Information Centre、略称:NASIC)等がある。
国防情報局(Defense Intelligence Agency、略称:DIA)は、アメリカ合衆国国防総省の諜報機関で主として軍事情報を専門に収集・分析し国防総省内の各情報部門間での調整を図る為の組織。1961年にロバート・マクナマラ(Robert McNamara)国防長官が設置した。またこのDIAの長官は、国防総省の最高意思決定に参画し、統合参謀本部の偵察作戦支援を担当する幹部幕僚(J-2)でもある。
最近ではCIAよりも高度な情報分析を実施、人的な資源のみならずハイテク技術及び情報収集兵器を駆使して成果を上げている。
中央保安部(Central Security Service、略称:CSS)は、1972年の大統領令によって設立された組織で、NSAと合同して国防総省の傘下で国家情報活動の統合を行なう機関とされていて、この組織の責任者はNSAの長官が兼務している。
また国防総省系の他の情報組織としては、その役割の違いや区別の詳細は不明だが、国家地上情報センター (NGIC)や国家地球空間情報局 (NGA)等が存在している。
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