【今日の気になる言葉】千日手(&将棋の禁じ手) 〈1647JKI11〉

Kijidasu!認定投稿者有志の持ち回りで、その日その時、気になる言葉を選んでは読者の皆さんに手短にご紹介する連作記事【今日の気になる言葉】を始めました。栄えある一番手は、“諸子百家”こと准将殿の不肖の弟子である筆者がチャレンジさせて頂きますので、是非ともご一読願います…。

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さて、ここからが本題。最近、ゲームやアニメ、そして実写映画の影響や、若き天才棋士・藤井聡太四段の活躍に触発されて将棋が大ブームになっていますが、先日、藤井四段が20連勝(6月10日現在25連勝)を飾った公式戦で『千日手』という言葉を耳にしました。将棋のルールに関する用語だとは記憶にありましたが、詳しくは失念していたので、ちょうど【今日の気になる言葉】にぴったりだと思い、改めて調べてみました‥。

 

千日手(せんにちて)とは、将棋の試合において先手と後手が同じ手順を繰り返して戦局が膠着状態になることを云い、全く同じ局面が同一の試合(局)中に繰り返し現れてしまうことを指します。

より具体的には、盤面の状況、即ち両者の駒の配置と手番の進行が同じ形で4回続いた時点で“千日手”が成立してその試合は不成立(勝負なし)となり、公式戦等では先手と後手を入れ替えて指し直し(再試合)となります。但し、“千日手”になるまでの間に一方が王手のみを続けていた場合には、王手をかけていた側が反則負けとなります。従って反則負けを避ける為には、連続王手とならない様に指し手を変えなければなりません。

また“千日手”に気付かずに終局した場合は“投了”が優先される為、遡って“千日手”を当てはめることはないそうです。

※他の将棋の反則(後述)も、終局後に関しては同じ扱いです。

※チェスでは同じ局面が3度生じるか、自分の駒を動かすことによって次に同じ局面が3度生じることを申立てた場合において引分けとなり、これを英語ではスリーフォールド・レピティション (Threefold repetition)と呼びます。

 

尚、将棋の“千日手”以外の禁じ手(やってはいけない規則・ルール)には、以下の様なものがあります。

二歩…自軍の歩が既にある縦の列に別の歩を打つ(置く)ことは出来ません。前後でも離れていてもダメで、これを“二歩”と言って「歩」だけに適応される特別なルールで、“二歩”をした側が負けとなります。但し、片方が「と金」に成っている場合は問題ありません。

将棋の代表的な禁じ手の“二歩”ですが、それこそ“二歩”をOKとすると“千日手”状態が頻発するのでこれが禁じ手になったというのが定説ですが、他の説としては「飛車」先の「歩」の更に先に「歩」を打つことが可能となると、これを実行した側の攻撃力があまりにも強くなり、勝敗の優劣がはっきりしすぎる為にゲームが面白くなくなるというものもあります。また攻める側にしても守る側にしても、「歩」を盤上にやたらと数多く並べてしまう為、いたずらに手数が増えてしまうことを嫌ってだとも云われています。確かに、“二歩”が可能となると、指し手に困った時にはとにかく「歩」を打てば良いという事になりがちで、棋力の向上を阻害することに繋がってしまうでしょう。

打ち歩詰め…持ち駒の「歩」を打って相手の「玉」を詰ませることを“打ち歩詰め”と言い、将棋のルールでは禁じ手となっているので、これを行うと反則負けです。但し、「歩」を打って王手をかけること自体は反則ではなく、この時点で相手側が他の駒でこの「歩」を取るか王手をかけられた「玉」が逃げられれば問題はなく、更に既に盤上にある「歩」を突いて「玉」を詰める場合は“突き歩詰め”と言い、これも反則にはなりません。

動けない駒(身動きの取れない駒)を打つ(置く)…「桂」・「香」・「歩」はルールで前方向にしか進めない駒なので、盤面の上部の特定の地点を行き過ぎると動けなくなってしまうことがあります。この様な場合は必ず成って「金」となり、後退する能力を得る必要があります。また、これらの(後退の出来ない)持ち駒を同様の場所に打つ(置く)ことも禁じ手となります。

但し、これは永久に動くことが出来ない駒は打てない(置けない)というルールで、当初、打った時に他の駒(敵味方双方)が邪魔をしていて動く場所がなくとも、移動先にある駒が除かれれば動かせる場合はこの限りではありません。

王手放置は禁止…自分が指し終えた後、引き続き王手が継続している状態にしてはいけません。つまり、王手をかけられた「玉」が逃げるか、他の味方の駒で王手をかけた相手の駒を排除するなど、必ず王手を防ぐ手を指さなければならず、王手がかかっているのにこれを回避する行為と異なる手を指すのは反則なのです。

また自軍の駒を動かすことで、次の相手の手番で「玉」を取られることになる様な指し手は禁じられています。即ち相手の長射程の駒から自軍の「玉」を遮っている味方の駒を自ら動かして、相手の次手で「玉」を足られてしまう場合です。これも王手放置の一種で、自ら自軍の「玉」に王手をかけたともいえる状態の現出は反則負けになるのです。

二手差し…相手の手番なのに自分の駒を動かすこと、言い換えれば続けて自軍の駒を動かしてしまった場合で、これも反則負けとなります。稀に、後手になったのに先に指してしまう事がありますが、これも二手指しの一種です。将棋の大原則は自分と対戦相手が交互に駒を打つ(置く)ことなので、連続で二度指すことはあり得ません。

待ったの禁止…将棋では、駒が手から離れた時点で打ち直しは出来ません。当然、一度指した手はやり直し不可であり、更に相手の指し手の撤回を求める“待った”などは論外です。

※一般的な非公式戦? ではよく見かける“待った!!”ですが…(笑)。

 

他に持将棋という規定もありますが、少々難しい公式ルールなので本稿では省きます。知りたい方はこちら(日本将棋連盟の対局規定)からどうぞ。

 

ちなみに、王手をかけた場合に対戦相手に「王手!」と声を掛けなければならないというルールも公式には存在しませんから、因縁の宿敵との勝負時には、充分、注意してくださいネ(笑)。

-終-

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