土用の丑(うし)の日には鰻を食べよう!!

今夏(2018年7月・8月)の土用の丑(うし)の日は、 7月20日(金)と8月1日(水)ですが、昔から土用の丑の日には鰻を食べよう!! との習慣が根付いている我国では、同日の鰻の消費量は格段にアップするとされていますが、今年は例年になく鰻の稚魚(シラスウナギ)の収穫量が少なく、恐らくは従来にない位の高値で鰻が売買されて、蒲焼が今まで以上に高嶺の花になってしまうと予想されています‥‥。

ところで、この土用の丑の日に鰻を食べる習慣ですが、江戸時代の中頃に平賀源内という人物が広めたという話を聞いたことがある人は多いと思いますが、どうもこの事が我国の鰻食文化隆盛の発端となったとの伝承は眉唾らしく、我国では滋養強壮の為に鰻を食べる習慣はかなり以前(奈良・平安時代!?)からあったとされています。

長年、暑い夏場に体力をつける目的で鰻を食べて来た日本人にとって、昨今のシラスウナギの不漁は只事ではありません。毎年、愉しみにしてきたこの食習慣を今後は諦めなければならないのでしょうか‥‥?

 

本年の状況

土用の丑の日などの夏場の最需要期に鰻を出荷しようとすると、遅くとも1月までに養殖を始める必要がありますが、今年は鰻ニホンウナギ、学名 Anguilla japonica)の稚魚であるシラスウナギの漁獲量が激減し、大変深刻な不漁となりました。

また例年では11月頃には鰻の養殖が開始されるのですが、今年の養殖においては最初の2カ月間で国内の養殖池に稚魚が放されたのは、約0.2tと僅かでした。これは昨年同期の 5.9tや、一昨年の 2.9tと比べても非常に少なく、今迄に見られない危機的な状況でした。

その為、シラスウナギの取引価格も大幅に上昇し、2013年の記録的な不漁の際と比較しても約1.5倍以上にもなる値段を付けたとされており、大幅な高騰となった様です。当然として国内産養殖鰻の生産量は大きく減り、成魚の出荷量は激減状態となっています。

この為、鰻専門店が使う活魚の鰻の卸値は前年比で倍以上で、2013年以来、5年ぶりの高値となっているそうです。この為、鰻専門店では値上げが相次いでおり、年間で最も需要が高まる土用の丑の日には、大手スーパー・量販店の食品売場でも高値が広がりそうな勢いです。

更に今週(7月9日~)は、来る土用の丑の日(7月20日)に向けて成田空港では活魚の鰻の輸入がピークを迎えており、7月11日だけで中国産や台湾産の鰻が合計2t(「うな重」にして1万人分)が輸入されましたが、輸入価格は昨年比で30%もアップしていると云います。

土用とは、五行に由来する暦の雑節で、立夏・立秋・立冬・立春直前の約18日間の期間を示す言葉です。つまり土用の丑の日とは、この土用の期間に訪れる十二支による丑の日を指しているのです。土用の丑の日に関しては昨今では夏場のイメージが定着していますが、実際には年内に複数日があり、四季それぞれに最低1回づつは存在しています。また夏場(7月~8月)の土用には丑の日が年に1日か2日ありますが、今年の様に2回ある場合、例えば7月20日を「一の丑」、8月1日を「二の丑」と呼びます。また夏の土用になることがある日付は7月19日~8月7日の間で、先述の通りこの中で2日ある場合と1日しかない場合が各年によって異なっています。

※眉唾(まゆつば)とは、騙されない様に用心すること。また、眉唾物の略で真偽の確かでないもの、信用出来ないもののこと。眉に唾を付ければ狐や狸に化かされないという俗信から生まれた言葉です。

残念ながら、この様に間違いなく今年の土用の丑の日には鰻食ファンは高額の出費を覚悟しなければならない様子ですが、そもそも今年(昨今?)の不漁は何故起きたのでしょうか? また今後、このまま一気に鰻がいなくなってしまうのでしょうか?

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