保存機のドラマの続きを見てきたぞ!〈17/38TFU03〉

ついにドラマの続きを見ることができました。その場所は、栃木県真岡市の鉄道展示施設「SLキューロク館」。入館がなんと無料で、間近に動く蒸気機関車や展示車両(貨車も地方私鉄の木製貨車、客車は北海道にいたスハフ44。こちらもマニアにはたまらない!)を見学することができる鉄道ファンには必見のスポット。乗車体験もあり、乗り物が好きな子どもにもおすすめ!大人気で毎回抽選の蒸気機関車の運転体験などのイベントも随時開催されています。機関庫を模したデザインも明るく、見やすいと感じました。庫内には9600型。そして庫外の屋根の下にはD51がいました。北海道で約50年前に顔を合わせたであろう両雄が、時空を超えて場所を超えて、再び出会ったのです。こんなにも美しく整備された姿で。
筆者は目頭が熱くなりました。

D51146が静岡からここに運ばれるまでを振り返ってみましょう。平成27年9月11日静岡城北公園にいた146号機は、輸送の為に胴体・台車・炭水車の3つに分割されました。9月15日にはクレーンを使ってトレーラーに積み込み、夜の9時ころに陸路(国道1号線)を使って移動を開始しました。途中、休憩をとりながらついに9月17日には真岡の地に到着したのです。そして、入念な整備や補修を経て、11月29日にはお披露目式になったのです。整備して飾っておくだけではなく、汽笛も鳴り、ライトも点灯し、さらには圧縮空気で自走までできるようになってしまいました。

生き返ったD51 146の足元
静岡の城北公園にいたころ。フェンスがものものしい。 2007年8月

油をさされたロッド、真鍮部分も徹底的に磨きだされ、ピカピカに手入れされたD51146。静岡の公園で、網がかけられ、木製のナンバープレートで誤魔化されていましたが、まるで見違えるようでした。

美しくよみがえった機体。精悍な顔つきに見える。

また、その前からこの地に落ち着いた9600型機関車、49671号機も私が以前、保存先だった井頭公園にいた姿とは比べ物になりませんでした。あの時は、埃をかぶり、籠の鳥のように身動きとれないくらいに囲まれて、まるでミイラのように「死んで」いましたが、完全に生き返った姿になっていました。こちらもコンプレッサーで走ります。(筆者も1000円払って、機関助手席に座り、汽笛を鳴らすという貴重な経験をさせてもらいました)土日祝に、1日3回(10時、12時、14時30分)実施されます。車掌車を連結して、線路を何度も往復します。
圧縮空気運行といえども走る時のシュシュという音、汽笛はそっくりで、本物に近いと感じると思います。もちろん、石炭で動いてないので熱さを感じられないのですが、逆に快適(?)なのかもしれません。
圧縮空気で動かすにしても足回りの整備は現役時代なみの精度で維持整備する必要があるとのこと、確かに重くて大きな鉄の塊がゆっくりゆっくりと動くようにするには、相当な手入れが必要でしょう。
ちなみに維持管理の費用として、整備する人や運転者の人件費を含めて年間2000万位かかるそうです。

井頭公園にいた頃の49671 2007年3月
機関庫で出発を待つような姿の49671のいま

すぐ横を走るのは、SLの運転で有名な真岡鉄道。11時すぎには、こちらはしっかりと石炭を焚いて走る生きたSLの姿を見ることができます。C11とC12の2台の機関車が活躍しています。この日も、C11型がやってきました。
駅には子供からお年寄りまで、歓声に包まれ大勢の人たちが見学に来ていました。ここも入場料は無料!3両の客車も6、7割の座席が埋まっていました。

ところが、そんな真岡鉄道から代名詞たるSLが1台姿を消そうとしているのです。C11型の運行の取りやめを決め、譲渡先を探していることが明らかになりました。C12型の1台体制となれば、車両検査・保守の都合もあって今までのような通年運行は難しくなります。その理由はやはりコストです。6年に1度行う全般検査には約1億4500万円かかるそうです。満席になってもほとんど利益は出ないともいいます。
さらに関東では、東武鉄道で同じC11を使ったSL大樹の運転が好調で、ライバルも出てきました。今後の運行が不安です。

真岡鉄道のC11。いつまでも頑張ってほしい。

東京からは2時間以上かかる場所ではありますが、とにかく「乗って残す」これしかないようです。筆者もこの日、グッズを買いあさり、さらには地元の自治体を協賛するべく小さな食堂で食事をし、農産品も大量に買い込みました。真岡鉄道を、そしてSLを支える町をわずかにでも支えたかったのです。
49671も、D51 146にも、この地が彼らの安住の地となり、新しいドラマを生み出してもらえるよう、この先も何度も訪れようと誓いました。

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