ゲーム業界久々の子供向けヒットが『妖怪ウォッチ』です。メディア・タイアップも順調に進み、周辺玩具も売れに売れています!!
その『妖怪ウォッチ』ビジネスの現状を、ご紹介します。
ゲーム『妖怪ウォッチ』とは
『妖怪ウォッチ』(ようかいウォッチ)は、ゲーム会社レベルファイブから2013年7月11日に発売されたニンテンドー3DS向けのゲームソフト・シリーズの第1弾です。本年(2014年)4月22日にはパッケージ版累計出荷本数が100万本を突破しました。2014年7月10日には新作『妖怪ウォッチ2 本家/元祖』が発売予定です。
ゲームの内容は、妖怪ウォッチで「ウォッチ」した妖怪を、バトルを通じて友達とすることが可能です。更に友達となった妖怪たちと協力して戦いながら、より強いボス妖怪を倒していくことがメインとなります。メインのクエスト以外にも人助けを行うサブクエストや、虫取りや魚釣りで色々な生き物を捕まえて便利なツールと交換することができたりと、やり込み要素はたくさんあります。
バトルは、最大6体の妖怪を操作して戦うシステムとなっていて、前衛に配置した3体の妖怪はプレーヤーが指示をしなくても、自ら「こうげき」「ようじゅつ」「とりつく」を使い分けて戦ってくれます。また、プレーヤー独自にタッチペンを使う「妖怪タッチアクション」によって、より強力な「ひっさつわざ」を繰り出したり、敵の弱点をピンポイントで狙ったりすることが出来ます。
カメラ機能を使用すると、不思議なレンズで友達を撮影したり、「妖怪メダル」のQRコードを読み込むことが可能です。
通信対戦も可能で、すれちがい通信を使うと「さすらい荘」でバトルやアイテムの入手が出来ます。インターネット通信機能では「ガチャコイン」の入手も可能となります。
『妖怪ウォッチ2 本家/元祖』との連動も図られており、1作目を持っていると『2』で「がまぐちポーチ付きコマさん」と「蝶ネクタイ付きツチノコ」を友達に出来ます。
ストーリーとキャラクター造形
夏休みのある日、妖怪執事を名乗る“ウィスパー”から妖怪たちと友だちになれる腕時計「妖怪ウォッチ」を手に入れた主人公のケータとフミが、主人公たちの住む町“さくらニュータウン”の色々な場所に出没する妖怪たちと戦いながら友達となっていくストーリーです。
町には多数の妖怪たちが居ますが、妖怪たちは「妖怪ウォッチ」を身に付けた主人公にしか見えません。妖怪はバトルに勝利することで「友だち」になり、「妖怪メダル」を「妖怪ウォッチ」にセットすることで呼び出し、仲間として戦ってくれるのです。
大ヒット作品の『ポケットモンスター』と日本人に受けが良い“妖怪”とを組み合わせた、安易な設定ではあるがヒット性の高いコンテンツとなりました。また、主人公を取り巻く世界観は、これまたメガヒット作の『ドラえもん』に類似しています。例えば、主人公の親しい友人には、同級生のフミちゃん、金持ちで理論派のカンチ、ガキ大将のクマといったメンバーがいますが、これは明らかに『ドラえもん』の構成メンバーと似ています。ストーリーの進展も“さくらニュータウン”という、主人公の住む町の近辺で起こる事件を解決しながら、一定の範囲内での日常に即して進んでいきます。
登場するキャラクターも可愛いく親しみやすいデザインで、特にネコの姿をした「ジバニャン」は、間違いなくポスト・ピカチュウを狙うキャラクターでしょう。
妖怪ウォッチと妖怪メダル
バンダイから今年(2014年)1月に発売された周辺玩具は、いずれも発売当日からほぼ完売状態となるほどの人気でした。
マーチャンダイジング上の最大のポイントは、「妖怪ウォッチ」と「妖怪メダル」の設定です。腕に身に付ける妖怪発見用の時計型アイテム「妖怪ウォッチ」は、所謂(いわゆる)”なりきりアイテム”といわれる玩具で、子供たちへの訴求力が強く購買心をくすぐるものです。
また「妖怪メダル」は、小学生を中心に流行し、これも品薄になる程の人気商品となりました。ウォッチ本体に専用メダル(1袋2枚入り税抜180円)をセットすると、ゲーム作品中で妖怪を召喚する時に流れる音楽が鳴るという仕組みです。キャラクターの描かれたメダルは何種類もあり、実際に購入して開封するまで中身は解りません。発売から約1カ月で累計300万枚以上を出荷したとの発表です。
3月22日には、「妖怪メダル 第2章」も発売され、こちらも瞬く間に完売しました。本来のゲームでも収集していく楽しさの強い「妖怪メダル」ですが、コレクション・アイテムとして現実(リアル)世界に広げるたことが成功の大きな秘訣となりました。
ゲームの中での「妖怪ウォッチ」と「妖怪メダル」の存在はごく自然であり、後発の玩具商品の周辺展開の実施に違和感なくスムーズに結び付いています。しかしこれは当初から充分検討した結果のことであり、この辺が過去にクロスメディア展開を数多く成功させてきたレベルファイブと、特にバンダイならではの巧さと思われます。
バンダイ公式サイト ⇒ http://yw.b-boys.jp/member/menus/index/
クロスメディア戦略の展開
本作は、『イナズマイレブン』シリーズ、『ダンボール戦機』シリーズに続くレベルファイブのクロスメディア・ビジネスです。先行する二作品と同様に、当初から周到にTVアニメや漫画雑誌、玩具商品などに展開することを前提として企画されていたようです。この狙いが当たり、メディアミックスを有効に活用した久々の大ヒット・ビジネスとなりました。
2014年1月8日よりテレビ東京系列にてTVアニメも放送され、平均世帯視聴率5.4%を記録しました。特に7歳~12歳までの男の子に限っていえば視聴率は20%を上回っており、これは『ポケットモンスターXY』に迫る値です。この様に、小学生の男子を中心に爆発的な人気を誇っていますが、4歳~12歳女子の視聴率も10%台で、女の子からの人気も侮れません。尚、ニコニコ動画でも1月9日より配信されています。
クロスメディア展開はテレビだけにとどまらず、先行して2012年12月から連載されている漫画雑誌『コロコロコミック』(小学館刊)や、2013年12月からは漫画雑誌『ちゃお』(小学館刊)でも連載がスタートしており、共にコミカライズ版の連載も担当しています。
興味深いのは、必ずしもゲームをきっかけに、子供たちがこの『妖怪ウォッチ』のファンとなったとは限らないことです。ゲームは遊ばないがアニメは観るとか、漫画と玩具だけに興味がある、といったケースもあり、ゲームが起点でこの世界観に入った訳でもない、という点が重要です。
女子の人気が徐々に増加していることも報告されており、その理由はアニメや漫画といったメディアの影響ではなく、「ジバニャン」の“ぬいぐるみ”そのものが可愛いいから、というものです。つまりこれは、キャラクター商品が良い意味で一人歩きを始めている証でもあります。
『妖怪ウォッチ』とその周辺ビジネスは、幅広いメディアを活用した効果が発揮されて、小学生らを中心に幅広い層のファンを獲得して大ブームとなり、各種の経済誌などでも「第二のポケモン」とも呼ばれるほどになってきました。
どこまでこのヒットの規模を拡大できるか? 『妖怪ウォッチ』は今後、「妖怪メダル」の新商品を次々に投入し、2014年6月末までに累計2,500万枚以上のメダル販売を目指すそうです。
-終-
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