【軍事研究】 Su-27、中国名は殲撃11型(J-11) 〈3JKI07〉

su2720140525-24a最近なんども自衛隊機と接近遭遇している中国軍機は、旧ソ連のSu-27をライセンス生産した殲撃11型(J-11)である。

ではSu-27とは、どんな戦闘機なのだろうか?

 

このところ、東シナ海の日本の防空識別圏と、中国が昨年新設した防空識別圏が重なる空域で、監視飛行中の自衛隊機に中国空軍のSu-27(殲撃11型)戦闘機が相次いで異常接近し、一時、30メートルから50メートルまで近づく危険行為が続発している。

 

さてSu-27(スホーイ27)とは、旧ソビエト連邦(以下、旧ソ連)が開発し1986年から運用開始した戦闘機であるが、西側のF-15のライバルと言われており、骨太の設計によるガッシリとした造りで、強力なパワーによる高い機動力と強力な格闘性能を持っている。長大な航続距離を有し兵装の搭載重量が大きいことなどが特徴で、旧ソ連の生み出した傑作軍用機のひとつといえよう。Su-27は「フランカー」とも呼ばれるが、これは北大西洋条約機構 (NATO) がつけたコードネームである。

現在でも現役で活躍しており、海軍型のSu-33や改良型のSu-35Su-37などバリエーションも豊富である。また、現ロシアの他に中華人民共和国(以下、中国)やインドがライセンス生産をしており、旧ソ連の友好国や第三世界の諸国で使用されている。

 

中国がソ連と新型戦闘機の購入交渉を始めたのは1990年であり、以降、MiG-29とSu-27を比較検討した結果、1991年3月にSu-27の派生型を購入することに決した。

実は、中国には輸出用を前提に開発されたSu-27Sのダウングレード型(いわゆるモンキーモデル)が提供された。それが単座型Su-27SK(フランカーB)と複座型Su-27UBK(フランカーC)であり、モンキーモデルとして一部性能が抑えられていた(OPES-27電子光学照準システムやECM機器などのアビオニクスのグレードが下げられているらしい)反面、レーダーはオリジナルのSu-27が限定的なTWS能力しか搭載していなかったのに対し、10個の目標を同時追尾し、2個の目標の同時攻撃が可能なN001 Zhuk-VEに強化されていた。

その後、中国はSu-27SK 36機とSu-27UBK 40機の合計76機のSu-27シリーズをロシアから直接購入したのだ。

 

1995年から2004年まで中国々内で96機がライセンス生産され、殲撃11型(J-11)として配備されている。

この殲撃11型(J-11)は、対地攻撃能力が追加されたが、非誘導兵器のみの搭載が可能であり、アビオニクスに関してはガルデーニヤECCMElectric Counter Counter Measure:対電子妨害対抗手段)を中核とするLTTS統合防御システムが追加装備された。尚、殲撃11型には単座型しか存在しない。

その後、部品の国産化率を高め、コクピットに3つの多機能ディスプレイ(MFD)を装備するなどの改良を加えたタイプであるJ-11Aへと引き継がれた。J-11Aはそれまで運用可能だったR-27R/RE1セミ・アクティブ・レーダー誘導ミサイルに加えてR-77アクティブ・レーダー誘導ミサイルの搭載が可能となり、本格的な同時多目標攻撃能力が付与されている。

次モデルの殲撃11型B(殲-11B、J-11B)は、機体設計の変更とレーダー波吸収塗料の使用により、レーダー反射断面をJ-11の1/3程度に抑制し、マルチロール化した近代化改修タイプだ。

また殲撃11型BS(殲-11BS、J-11BS)は複座練習機型で、Su-27UBKを基にJ-11Bと同様の設計思想で中国が独自に開発した機体である。レーダー波吸収塗料の使用により機体を低RCS(Radar Cross Section)化させてマルチロール化にも対応しており、中国国産の武装も搭載し運用可能である。

更に、中国がSu-33の試作機であるT-10K-7を参考にJ-11Bをベースに開発した艦上戦闘機が、殲撃15型である。→ Kijidasu! 空母を考える(1)

 

運用支援の環境に関しては、中国におけるSu-27の整備機材や整備環境は低レベルにある。いまだに大型の発電車や高圧酸素・窒素の供給が不可欠であり、この為、Su-27を中国国内で運用・整備できる航空基地は限定されているという。更に、整備体制の電子システム化が遅れている為に整備に多くの時間を要し、稼働率も低いようだ。

 

因みにSu-27については、1990年代の末に当時の防衛庁に対して、航空自衛隊の飛行教導用のアグレッサー機として購入配備しては、とのロシア側から売り込みがあったそうである。

 

中国軍全般にいえることだが、ITC技術やシステム化が日米軍と比較して遅れているとされている。個別の兵器・装備等においても、アビオニクスやレーダー関連などのデジタル技術、ミサイルなどの性能に大きな開きがあると考えられる。

しかし、この技術的な格差が、中国経済の拡充・上昇に伴い急速に縮まりつつあることも、また間違いないことだ。だが、誤解と経験不足から不慮の事故が起こらない様に、併せて中国空軍のパイロットの経験と技量も向上して欲しい!!

-終-

【速報】中国軍機が米軍機に対しても東シナ海で異常接近を繰り返しているとの情報が公開された・・・。また、米太平洋軍のロックリア司令官はNHKのインタビューに答えて「中国軍のパイロットの中にはプロ意識に欠けた行動をするものもいる。 こうした判断は若いパイロットに任せるべきでない」と述べ、 異常接近は現場のパイロットの判断で行われているらしい、との見解を示した。

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