28日の株主総会でイオンの岡田元也社長が、傘下のダイエーを衣食住全般を扱う総合スーパーマーケット事業から食品関連に特化した小売店チェーンに転換する方針を明らかにして「今後は日本一の『総合食品小売業』を目指す」と述べた。
昨年8月に親会社となったイオンは、ダイエーと重複する事業の再編を進めているが、こうした中、5月28日に行われた同社株主総会において岡田社長は、「ダイエーの事業を関東と関西のグルメシティに特化し、それ以外の地域についてはイオングループとの統合再編を進めていく」との方針を示した。また岡田社長は「国内は成熟市場で、(コンビニエンスストアやドラッグストアなど)業態を超えた厳しい競争がある。そこで勝つには、専門性の高い小売業に変わる必要がある」とも話した。
ダイエーはイオングループ入りに際し、既に北海道と九州地区を事業部制に移行しており、イオンの地域子会社へ移管の上で店舗網を抜本的に見直す方針の様である。
更に、岡田社長は5月27日付の日本経済新聞社の取材に対し、経営課題になっているダイエーの再建について「旧イオン、旧ダイエーという境目をなくし、合理的な企業集団に再編する」と述べており、北海道や九州地区のダイエー店舗をイオン側に移したり、関西のイオン系店舗をダイエーブランドに移行したりすることを検討し、重複部門の統廃合など両社の垣根を越えた事業再編に取り組む考えを示した。
株式会社ダイエー(The Daiei, Inc.)は、全国的に総合スーパーマーケット事業を展開しているダイエーグループの中核企業。2013年8月27日にイオンの連結子会社となった。本店は神戸市中央区で、本社は東京都江東区である。
昭和32年(1957年)に兵庫県神戸市で創業した。20世紀の日本の流通・小売業界を牽引し発展させた代表的な企業でもあり、ショッピングセンターやゼネラルマーチャンダイズストア(GMS)といった業態を我が国で初めて導入した。
創業者の中内功氏の誕生した阪神・神戸地区を中心に足場を固め、1960年代後半から1970年代にかけて全国的に勢力を拡大し、1980年代には日本有数の小売業として成長した。また、創業以来一貫して「価格破壊」をスローガンとする拡張路線を進めてきた。
だが、バブル崩壊後、急速な多店舗展開や事業の多角化の弊害で、1990年代後半から急速に業績が悪化していく。2004年からは産業再生法の適用及び産業再生機構からの援助、そして総合商社の丸紅およびイオンの支援を受けていたが、2013年にはイオンが子会社化に踏み切った。
経営不振後は、まるで「バブルの負の遺産」の代表企業とされていたが、高度経済成長期には、常に新しい業態を開発し、我が国の流通業界を代表する成長企業であった。
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